「オリンピックに向けても試合をしたかった」
Bリーグは昨日、新型コロナウイルスの影響で約1カ月間中断していたリーグ戦を再開。宇都宮ブレックスは、再開後の初戦を千葉ジェッツのホームに乗り込み88-80で勝利した。
比江島慎はプレータイム26分で12得点3リバウンド6アシスト4スティールを記録。攻守に渡る活躍で勝利に貢献した。
試合を終えて比江島は「コロナウイルスの影響で久々の試合でしたが、やるべきことは変わりません。無観客で独特な雰囲気だったけど、自分たちのバスケットができたので良かったです」と振り返り、中断期間の過ごし方をこう明かした。
「これまでのリーグ期間中には、スペーシングやディフェンスの連係の細かいところまで確認ができませんでした。そういう細かい部分や個人のワークアウトを一から見つめ直して取り組みました。今日は僕らの激しいディフェンスからの速攻とかもしっかりできたので、1カ月ぶりの試合だったけど良かったと思います」
無観客とはいえ、試合はいつも通り進んだ。しかし会場の雰囲気は独特で、無観客なのだからグッドプレーをしても会場は盛り上がらない。
「正直、この雰囲気はやりにくかったです。気持ちの持っていき方や昂る感じがいつもより難しくて。やっぱりファンの皆さんが会場で見てくれている方がモチベーションは上がります。お客さんの声援があってこそ試合が成立すると思いました」
それでも与えられた状況で、できることをするしかない。普段は選手やヘッドコーチの指示は、コートから遠い席の人には聞こえない。それでも無観客だからこそ、いつもとは違う楽しみ方もあると比江島は言う。「僕らがどんなコミュニケーションを取っているのかは普段は見られない光景だと思う。逆にそういうところは、中継を通して楽しんでもらえたと思います」
「ファンの皆さんに元気や勇気を出してもらえるように」
今はNBAもレギュラーシーズンを中断し、他のスポーツやイベントも中止や延期が続いている。そんな中でのBリーグ再開には、ヘッドコーチや選手にもそれぞれ思うところがある。比江島も「もちろん不安がないわけではない」と言う。しかし、それが彼らの仕事であり、試合をすることで世の中に価値を提供している。
「僕たちもお互いにしっかりと感染防止対策をした上で試合をしています。今の状況ではどうなるか分からないけど夏にはオリンピックもあるので、毎試合で成長していかないといけない。そのためにも自分は試合をやりたいと思っていました。1カ月空いてしまったけど、個人的にはゲーム勘がなくなっていることはなかったです。ただもっと期間が空いてしまっていたら難しかったと思う。リーグがやると決めたのだから、しっかりやっていくだけです」
この日は、川崎ブレイブサンダースvsレバンガ北海道の試合がチームに体調不良者が出たため、試合開始直前に中止になった。リーグ戦は再開したものの、今後も感染拡大の状況や様々な事情に振り回されることもあるかもしれない。それでも比江島はこの状況でバスケットをやる意味をこう話す。
「ファンの皆さんがいなくて、僕たちもすごく寂しい気持ちでした。コロナウイルスの影響で外に出られない人もいるから、その人たちのためにもしっかりプレーしないといけない。こういう時だからこそ、ファンの皆さんに元気や勇気を出してもらえるように、全身全霊で精一杯プレーするだけです」
新型コロナウイルスの影響は先が見えず、不安は誰にでもある。それでも自分の成長のため、そしてバスケットを楽しみにしているファンのために、比江島は全身全霊でプレーをする。
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