堅守で得たリードを保ち、余裕を持って福岡を下す
琉球ゴールデンキングスが、天皇杯のベスト16でライジングゼファー福岡と対戦。今シーズン、B3からの昇格組でありながらB2で快進撃を見せ、前日には大阪エヴェッサを撃破して勢いに乗る相手に対し、序盤からB1西地区首位の原動力となっている堅守でリードを奪うと、危なげない展開で71-55と勝利した。
第1クォーター、津山尚大の連続3ポイントシュート成功、田代直希の得点で流れをつかんだ琉球は、福岡の得点をエリック・ジェイコブセンの6点のみに抑え17-6と先手を取る。第2クォーターに入ると、福岡は引き続きジェイコブセンが得点を重ねていくが、琉球もしっかりと応戦。前半を琉球の12点リードで終える。
第3クォーター序盤、福岡は山下泰弘、北向由樹が前半は不発だった3ポイントシュートを決めて追い上げを図るが、琉球も岸本隆一、渡辺竜之佑が3ポイントシュートですぐに試合の流れを引き戻して2桁リードをキープ。終盤まで守備が乱れることなく余裕を持ったまま逃げ切った。
オン「1」のサイズ不足、不安は杞憂に終わる
昨日のバンビシャス奈良に続き、B1で地区首位に立つ貫禄を見せつけた格好となった琉球だが、佐々宜央ヘッドコーチは自分たちが格上という意識はなかったと言う。「福岡をB2にいるから下のチームとは思っていませんでした。帰化選手(ファイ・パプムール)がいて、来シーズンには間違いなくB1に上がってくるようなチーム。受け身ということはなかったです」
そして指揮官は「ウチの方が有利と見ている人がいると思っていましたが、実際はアイラ(ブラウン)が不在でインサイドに控えの日本人選手がいない。(渡辺)竜之佑が4番で、相手にはパプがいました」とコメント。日本代表アイラ・ブラウンがワールドカップ予選で不在のため、代役を担う189cmの渡辺が、200cmのパプとマッチアップする。オン・ザ・コート「1」の時間帯でのサイズ不足は懸念材料であった。
しかし、この不安はトラップやダブルチームなどを仕掛けることに加え、なによりも9得点7リバウンドを挙げて「本当によくやってくれました」と佐々ヘッドコーチが絶賛する渡辺本人の奮闘によって杞憂に終わった。
「代表選手がいないから負けるとは言わせない」
そして、2日続けてのジャイアントキリングを狙っていた福岡の勢いを、第1クォーターで完全にストップされた大きな要因は、日本代表コンビがいなくても自分たちは戦えることを示したいというチーム全体の強い思いだった。
「竜之佑は練習、そして試合の少ないプレータイムの時でも頑張ってくれている選手です。今回負けたら『アイラがいなかったから』と皆さんは言うかもしれない。しかし、選手たちには『これで負けたら竜之佑がが傷つくよ。アイラがいなかったから、ということは、代役の竜之佑が使えないと言われているようなものだから』と言いました。僕たちはチームで戦っているので、そう思わせたくない。竜之佑ががプレーしていても勝てる。古川がいない、アイラがいないと負けるとは絶対に言わせたくなかったです」
このように指揮官は、今回の日本代表コンビ不在の連戦に向け、チーム全体が持っていた秘めたる強い決意を明かした。
これで昨シーズンは出場すらできなかったオールジャパンの8強入りを決めた琉球。佐々ヘッドコーチは「埼玉スーパーアリーナーでできるのはうれしいです。純粋にああいう大きな会場でコーチをしてみたいと思っていました。また、リーグ戦では味わえない一発勝負で、強豪相手にどこまで戦えるのか。この経験は絶対にチームの財産となります」と、チームを成長させる舞台へ駒を進められたことへの率直な喜びで締めくくっている。
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