文・写真=古後登志夫

「ウチはディフェンスで勢いの出るチーム」

先週末、京都ハンナリーズはホームに千葉ジェッツを迎えた。結果は60-82、74-90と2試合とも大差での敗戦。開幕直後のアウェーでの連戦では、第2戦にインパクトの強い逆転勝利を収めていた。粘りのバスケで踏み留まり、第4クォーターに一気に逆転する痛快な展開。この良いイメージを持って千葉を迎え撃ったはずが、終わってみれば力量差を痛感させられる結果に。

この2試合を振り返り、ポイントガードの伊藤達哉はディフェンスで耐える展開に持ち込めなかったことを悔いる。「ウチはディフェンスで止めていると勢いが出るチームだと思いますし、勝っている試合は失点を60ぐらいに抑えるディフェンスをやっています。ジェッツはオフェンスの強いチームですが、それでも70点以下に抑えなければいけないです」

『勝ち方』として理解はしていても、千葉のダイナミックな攻めを止められなかった。伊藤個人として、リーグのベストポイントガードの一人である富樫勇樹とのマッチアップについて問われると、「1対1の場面はあまりないので、何とも言えないです」とあっさりしたものだが、その富樫の代名詞であるピック&ロールを使ったビッグマンを含む2対2の対応となると、彼自身にも「やられた」という印象が強い。

「最初のほうはビッグマンが走ってヘッジが出てくれたんですが、後半は全然出てくれない。そうなると簡単に3ポイントシュートを打たれてしまいます。僕とビッグマンが連携を取って、もっと早くアジャストする必要がありました。そこは収穫は何もなくて、本当に自分の力不足だけですね」

ディフェンスのチームである京都が、千葉のオフェンスのカギとなる富樫のピック&ロールを止められなかった。自らをディフェンスマンと自負する伊藤にとって、その悔いは大きい。「(浜口)炎さんは熱いタイプのヘッドコーチで、東海大の陸さん(陸川章)と共通しています。2人ともディフェンスから流れを作るバスケをしていて、それは自分に合っていると思います。僕はどの試合でも『自分のディフェンスを見せてやろう』という気持ちで入ります」

アグレッシブなプレーを貫くことが成長を呼ぶ

それでもここまで17試合を戦い、伊藤はルーキーながら全試合にスタメン出場。チームも9勝8敗と勝ち越している。試合のカギになるのはディフェンスだとしても、オフェンスでもっとアピールすることが自身の価値を高め、チームのプラスになることも理解している。

「ゲームメークも決定力も富樫選手とは差を感じました」と伊藤は素直に認める。課題としては「ドライブも意外と通用するので、そこはルーキーらしくアグレッシブに行くこと」であり、積極的に攻めた結果であればターンオーバーも気にしない。「今の段階ではそれがまた自分の成長になるので、次また同じミスをしないよう心掛けながらも、どんどんチャレンジしていきたい」

千葉相手の連敗はチームとしての差を痛感させられた。ルーキーではあってもポイントガードを任される伊藤が考えるのは、個人よりもチームだ。「富樫選手のゲームの組み立てもありますが、全員が自分の仕事を徹底するところが千葉の強みだと感じました。シューターは自分でスペースを見つけること、外国籍選手はピック&ダイブだったりリバウンドに行くことを徹底しています。その中で富樫選手がピック&ロールを呼んで周りを生かしたり、自分で行くところは行く。本当に徹底されていると感じました」

では、京都が徹底されていない部分は具体的に何だろうか。「ディフェンスの良いチームが相手となると、誰かに頼ってしまったり、逆に一人でプレーしてしまうことが多々あります。そこはもっと自分のフォーメーションのコールだったり、修正できる点はあると感じました」

課題を話しているうちに、厳しい言葉も出てくる。「ブレイクを出せるところでは走る、それだけのことが徹底できないこともあります。自分一人が突っ込んでいってもダメだし、そういう点を考えなければいけません」

「一番年下の自分が中心となってハードにやりたい」

ベテランの多いチームをルーキーの司令塔がコントロールするのは、やはり難しい部分もある。「年下だし、身長も低いし、ケガで試合に出ていなかったし、最初はやはり信頼されていない部分もありました。でもそれは最初だけで、やりづらいわけではないです。練習でやっていることが試合に出るので、そこからハードワークして良い雰囲気を作っていきたいと思っています。練習でケガをしたくない選手もいるかもしれませんが、そこは一番年下の自分が中心となってハードにやりたいです。他のチームを気にするよりも、まずは自分たちです。自分たちでどれだけ修正できるかに集中したいです」

再び彼個人に話を戻すと、そこは先発を任されているルーキーらしく自信に満ちた言葉が出てきた。「試合をするたびにレベルアップしていると感じます。まだ40試合以上あるので、シーズン終盤にはもっともっとレベルアップした自分を見せられると思っています」

勝っても負けても、すべてが成長の糧。伸び盛りの伊藤達哉がこのシーズンで何を得て、どう成長していくのか。京都のファンにとっては大きな楽しみの一つだ。