サンロッカーズ渋谷

勝利するも課題が浮き彫りとなる試合に

サンロッカーズ渋谷が琉球ゴールデンキングスをホームに迎え、延長の末に75-73で勝利した。

SR渋谷の伊佐勉ヘッドコーチは勝利したものの「内容がすごく悪く、遂行レベルも低くて良かったことは勝ったことだけ。すべて反省して明日もう一回琉球さんにチャレンジしたい」と振り返る内容のゲームだった。

試合は序盤から互いに激しいディフェンスを前面に押し出して拮抗した戦いが続くが、琉球が先に良いリズムをつかむ。先発に石崎巧、並里成、牧隼利とガード陣を同時起用し、その後も岸本隆一と石崎など2ガードでオフェンスを組み立てるなど、ボールを動かすことでズレを作り、自分たちのリズムでシュートチャンスを作り出す。さらには岸本の3ポイントシュートが前半だけで5本中3本決まるなど、インサイドとアウトサイドからバランスの良い攻めを見せた。

SR渋谷は琉球の高い位置からのプレッシャーディフェンスに苦戦し、ズレを作ることができない。それでも外国籍コンビのセバスチャン・サイズとチャールズ・ジャクソンがインサイドで奮闘することで、前半を38-37と1点リードで折り返す。

しかし、後半になるとSR渋谷のディフェンスのチグハグさが目立ち始める。ジャック・クーリーに当ててズレを作り出して展開する琉球のオフェンスを止められず、デモン・ブルックスを何度もフリーにしてしまい、3ポイントシュートを6本中3本決められるなど、このクォーターだけでブルックスに16得点を許し、50-55と逆転されて最終クォーターを迎えることに。伊佐ヘッドコーチも「何であんなにノーマークだったのか、僕が聞きたいぐらいです」と頭を悩ませた。

それでも最終クォーターになるとSR渋谷はディフェンスを修正して立て直し、サイズの連続得点で残り8分で1点差まで追い上げる。それでも最後にベンドラメ礼生に託したシュートが決まらず、試合は66-66で延長戦へと突入した。

40分間で勝負を決められなかったSR渋谷は延長を迎えた時点でジャクソンの個人ファウルが4つに。クーリーにそこを狙われてインサイドでの失点がかさみ、残り3分で69-72とビハインドを背負う。それでも山内盛久の3ポイントシュートで同点に追いつき、再び一進一退の攻防に持ち込む。

サンロッカーズ渋谷

「今までできていたことができなくなっている感じがあった」

それでも、終盤にモノを言ったのはスタミナだった。この試合でもタイムシェアを徹底したSR渋谷のディフェンス強度は延長戦になっても落ちることなく、琉球のリスタートの場面から強烈なプレッシャーをかけ続けることに成功。岸本から8秒バイオレーションを奪い、続いて並里成のターンオーバーからジャクソンのダンクへと繋ぎ、残り22秒で74-73とリードを奪う。琉球は奮闘を続けたクーリーが5ファウルで退場となり、そのフリースローをベンドラメ礼生が決めて勝利した。

伊佐ヘッドコーチは試合後に、「特にディフェンスが悪かったです。ディフェンスのポジショニングも悪く、明後日の方向からヘルプに行ったりと、何を考えているのか分からない状態でした」と振り返る。

「今日の試合では、今までできていたことができなくなっている感じもあり、コート上でなにかちょっとしたことが起きていたのかなと思います。オーバーヘルプに行ったり、違うところからヘルプに行ってしまう。そして、そこが今度はノーマークになってしまう。そのためローテーションもチームルールじゃないので、誰も動けなくなるということが起きて、ブルックス選手をノーマークにしてしまったのかなと思います」

それでも最終クォーターには「終盤は戦術をちょっと変えたので、上手くできました」と言うように、ディフェンスで立て直すことに成功した。インサイドは徹底してダブルチームで守り簡単には得点を与えない。それまであったヘルプのミスも減り、SR渋谷のディフェンスを取り戻したことが、混戦の末の勝利に繋がった。

琉球ゴールデンキングス

「ミスをした後にディフェンスのインテンシティが下がってしまった」

一方の琉球にとっては悔しすぎる敗戦。特に延長に入ってからは、わずかではあってもリードする時間が長かっただけに、自滅とも呼ぶべき敗戦だった。藤田弘輝ヘッドコーチは憮然とした表情で「選手たちはよく戦ってくれたが、勝たせてあげられなかった」と悔しさを噛み締めた。

岸本隆一は「このようなクロスゲームを落とすのはメンタル的にもキツいですし、こういうゲームを勝って行かないと良い成功体験を積めないのですごくもったいないゲームになってしまいました」と振り返った。

序盤は良い形でオフェンスを遂行し、岸本自身もゲームメークや3ポイントシュートで積極的に攻めていた。「渋谷さんがショウディフェンスを仕掛けてきていて、ボールマンに対しては厳しいですが、そこを突破するとアウトナンバーになるのがショーディフェンスの穴でもあります。前半はそこを結構突けて、ショウが甘かったら自分の3ポイントシュートも狙っていけました。ですが後半になって向こうのショウディフェンスがより強くなって、そこに対して割って行けなかったのが今日の反省です」

さらに後半には琉球のガード陣のミスが目立ち、岸本も勝負どころで8秒バイオレーションを取られるなど流れを呼び戻すことができなかった。

「バックコートでターンオーバーをしてしまうと元も子もないので、そこは反省しないといけません。ただそれ以上に、ターンオーバーの後にディフェンスのインテンシティが下がってしまったことが最も反省すべきところです。ミスが起きてしまった時に、僕たちがどれだけまとまって手を取り合って厳しくディフェンスできるか、次に繋げられるかというところを明日は意識していきたいです」

この試合では両チームともに課題が多く残る試合となった。互いにこの試合での課題をどのように修正して、第2戦に挑むのか注目だ。

2月1日のB1 9試合の結果
島根64-79千葉
横浜75-70大阪
三河82-57滋賀
名古屋D83-55新潟
川崎68-72A東京
SR渋谷75-73琉球
秋田70-73京都
富山77-72北海道
三遠75-94宇都宮