トヨタ自動車の流れを断ち切った3ポイントシュート
皇后杯の準決勝、7連覇を狙うJX-ENEOSサンフラワーズがトヨタ自動車アンテロープスと対戦した。
JX-ENEOS撃破を狙うトヨタ自動車は、立ち上がりからタフなフィジカル勝負に挑みロースコアの展開に持ち込む。『女王』の高さとフィジカルに耐えて、3ポイントシュートで差を付けるのがトヨタ自動車の目論見。開始から8分半で河村美幸のゴール下が決まった後は全く得点が入らなくても我慢強いプレーを続ける中、三好南穂が3ポイントシュートを沈める。ここからトヨタ自動車の流れが来るかと思われたが、そこに立ちふさがったのが渡嘉敷来夢だった。
その直後に渡嘉敷は早い展開からのゴール下を決める。今度は三好から馬瓜ステファニーに3ポイントシュートを決められるも、左コーナーから3ポイントシュートを決め返した。トヨタ自動車から見れば、耐えに耐えてようやく手にした流れを渡嘉敷の2発に断ち切られた形。こうしてロースコアの展開となった第1クォーターを15-8で乗り切ったJX-ENEOSは、その後も攻守に隙を見せることなく点差を広げ、82-48と大勝した。
「やっぱりあの場面で決められたのは大きいです」と、試合後の渡嘉敷は第1クォーターの連続得点を笑顔で振り返る。特に大きかったのは、決して得意ではない3ポイントシュートを序盤の勝負どころで成功させたことだ。
「あれだけ捨てられたら、もう打たなきゃいけない」と渡嘉敷は言う。『捨てる』とは相手がディフェンスに行かずに打たせることだ。渡嘉敷からすれば屈辱で、「昨シーズンよりは思い切って打てるようになったので、捨ててきたらしっかり打って、もっと決めれるようになれば捨てられないと思います」と語る。
ただ、相手からすれば渡嘉敷にポストアップや合わせからゴール下でイージーシュートを決められるのが何より怖い。捨てるというより、アウトサイドに出てくれればホッとするのが本音ではないか。そう問うと「だと良いんですけど(笑)」と渡嘉敷は笑う。「練習では入るので、試合でも入ると思って、自分を信じて打ち続けます」
「しっかりディフェンスをやれば勝てる」
明日の決勝ではデンソーアイリスと対戦する。もう何度もタイトルを懸けて争ってきた相手で、勝敗のカギは渡嘉敷と髙田真希、日本代表のチームメートであり桜花学園の先輩後輩のマッチアップとなりそうだ。
「リツさんには負けたくないです。でも昨シーズンはホームゲームで結構抑えることができたので、引き続きディフェンスで頑張りたい。リツさんは本当に中も外もできる、自分が一番負けたくない相手であり、同じようなプレーができたらと思う存在なので、負けないように頑張ります」
もっとも、試合は個人の勝負で決まるものではないし、チームで考えれば渡嘉敷にはデンソーを上回る確たる自信がある。それは常勝を義務付けられ、実際に勝ち続けてきたJX-ENEOSの主力選手だからこそ持つことのできる自信だ。
「1対1で負けるところはないので、あまり心配はしていません。そこを相手がどう崩してくるかですが、ウチのチームディフェンスはすごく良いので、しっかりディフェンスをやれば勝てると思います。でも、今日よりももっと良いバスケットをしないといけない。ディフェンスで崩れず、オフェンスでは走るバスケをやってデンソーさんに勝ちたいです」
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