文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

「何が何でも勝ちに行かないとダラダラ行ってしまう」

栃木ブレックスは昨日行われたアルバルク東京との試合を5点差で落とし、Bリーグになって初の3連敗を喫した。

それでも先週の千葉ジェッツ戦より向上が見られたのは収穫。前節、第1戦は終盤のブラックアウトで大逆転負け、第2戦は過去最少得点となる54点と課題ばかりの2連敗だった。それに比べれば、序盤に主導権をにぎられ追いかける展開が続いたが、その度にカムバックする粘り強さを示している。

34分間コートに立ち続けた竹内公輔もその点では手ごたえを感じている。「40分間を通して何度か2桁点差になりましたけど、それに我慢してディフェンスでついて行って、競ることができたのは良かった」と語る。

それでも敗れたことには変わりがない。竹内は敗因をこう語る。「自分たちのペースになった時、逆転できそうなところで僕たちの上を行ったというか、勝負どころで差が出たと思います」

復調の兆しが見えた一戦となったが、真価が問われるのは第2戦でのパフォーマンスだ。竹内はそのことを心底理解している。「今日は10点離れてもディフェンスで頑張って、あと2、3点までになったのは先週より成長しました。でも明日は何が何でも勝ちに行かないと、このままシーズンがダラダラ行ってしまうので、勝ちを貪欲に意識していきたいです」

「守備やリバウンド以上のこともしていかなければ」

攻守ともに課題をまだ残す栃木だが、勝負どころで勝ち切るためにオフェンスのテコ入れは急務だ。ここまで平均70.0得点はリーグ15位。堅守をモットーとするチームではあれ、優勝を目指す以上、このままで良いはずがない。昨日の試合では喜多川修平が12得点、田臥勇太が13得点とガード陣の得点が伸びた。

「僕もライアンもリバウンドに入るのでと話し合っていて、今日はみんな思い切りよくシュートを打てていた」と強力なリバウンダーがいる強みが形となっているが、竹内自身は6得点9リバウンドと平凡な数字。ただ、ここに栃木としての伸びしろがある。「シュートアテンプトが少ないので、自分がディフェンスやリバウンドだけではなく、それはもちろん大事なんですけどそれ以上のことをしていかなければ。良い意味でもっとセルフィッシュにいければと思います」

昨日の試合、A東京のインサイド陣は揃って活躍した。特にゲームハイ(タイ)の16得点を挙げたアレックス・カークは攻守に存在感を見せた。そのカークはロシターではなく竹内のマークに付いていた。3ポイントシュートも打てるロシターではなくシュートレンジの狭い竹内に付くことでゴール下から離れず、リムプロテクターとしての持ち味を生かすのが狙いだ。

「もっとゲームの中で自分で判断しないといけない」

試合中から竹内は「彼ににゴール下に居座られたら他のメンバーもドライブしづらい」と感じていた。ゴール下が彼の持ち場だが、試合では臨機応変な判断も求められる。「コーチに言われたことも大事ですけど、外から打ってディフェンスを広げるなど、もっとゲームの中で自分で判断してプレーしていかないといけない」と竹内は言う。彼がペリメーターからのシュートを何本か決めれば、カークはペイントエリアから出て行かざるを得ない。そうすればガード陣の得点力はもっと生きるはずだ。

リバウンドと堅守でリーグを制した栃木のスタイルは強力だが、ずっとしがみついているわけにもいかない。個々の選手の持ち味を生かしながら、新たなスタイルを構築しようとする意図は随所に見られる。強力な外国籍選手とマッチアップする際の竹内の強みは、その柔軟で幅広いプレーがチームスタイルと合致した時にこそ発揮される。セドリック・ボーズマンを3番で使う今の栃木にとって、竹内が担う役割は極めて重要だ。