ディフェンスのファイト、リバウンドを徹底して勝利
福岡大学附属大濠(福岡)の横地聖真が「九州大会とか練習試合でずっとやってきたのですが、留学生もいてゾーンのところで自分にとってもやりづらい相手」と評する延岡学園(宮崎)とのウインターカップ準々決勝。勝敗を分ける決定打がなかなか見えない状況で大濠が少しずつ主導権を奪うことができたのは、タフに戦い抜くことでのディフェンスの安定感だ。
延岡学園は森下瞬真が21得点を記録するも、常にプレッシャーを掛けられた状況でフィールドゴール23本中8本成功と、確率はそれほど高くなかった。対する大濠は、オフェンスが苦しくなったところでボールを託される横地はタフショットに行くしかなく15本中5本と確率は良くなかったが、他の選手が2点シュートで30本中15本成功と、インサイドでは手堅く得点を重ねた。
横地は相手のゾーンに苦戦。「ハイポストでもらってもなかなかシュートが打てなくて難しかったんですけど、後半ようやく3ポイントシュートが当たって良かった」と振り返る。
それでもフォーワードであってもボールを運び、パスを散らすゲームコントロールもしばしば担う横地は、「自分の持ち味はドライブであり、ディフェンスリバウンドを取ってからプッシュする力でもあります。プッシュできる場面はゾーンでもマンツーでもあるので、そこは次もやっていきたい」と、得点だけでなく様々な場面でチームに貢献するつもりだ。
「臆病者にはなるな、と選手には伝えました」
前半を終えてリードはしていたものの、延岡学園のゾーンを攻略できずに重い展開となっており、大濠が望むような試合にはなっていなかった。片峯聡太コーチはハーフタイムの指示について「臆病者は伝染します。『臆病者にはなるな』と選手には伝えました」と語る。
強調したのはディフェンスのファイト、ディフェンスリバウンドの徹底。今大会の大濠には爆発力はなくても、拮抗した展開の中で集中力を切らさず、チーム一丸となってファイトし、かつクレバーに試合をコントロールする力がある。前半のリードを巧みな試合運びで守り、63-52で延岡学園を破った。
「タイトなディフェンスはできていたので、ブレイクを決めきっていればもっと良い展開だったと思います。それでもハイポストからミドルシュートが決まったのは良かった」と片峯コーチは課題を語るが、チームの軸となる『タフに戦う』部分はすでに完成していると言っていい。
ウインターカップも残すところあと2日、今日の準決勝で大濠は北陸(福井)と対戦し、勝てば決勝で福岡第一(福岡)と東山(京都)の勝者と対戦する。
「どのチームよりも長く、楽しんでやりたい」
試合を重ねるごとにエースとしての自覚を増す横地は言う。「楽しみたいというのもあるけど、負けたら終わりという恐怖もあります。すごく緊張していますが、最後は楽しんで終わりたいし、最終日まで残りたいとみんな言っています。どのチームよりも長くやりたいので、楽しんで最終日まで残りたいです」
「開志国際との試合前はみんなガチガチでした。勝って喜んだけど、その気の緩みで洛南戦は向こうのハーフコートオフェンスにハマりました。それで僕はハーフタイムに、『昨日の勝ちは忘れて集中しよう、負けたら終わりだから勝つぞ』と声を掛けました。それでみんな引き締まったと思うし、今日もそれが表れて差になったと思います」
横地が言うように、トーナメントの組み合わせで他のどのチームよりも厳しい対戦を重ねてきた大濠は、タフに戦うことで競った展開を制してきた。この経験がよりチームをタフにしている。