世界との距離を縮めるために奮闘を続ける『海外挑戦のパイオニア』岡田卓也の挑戦

2017/10/10
NBA&海外
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取材・写真=古後登志夫 構成=鈴木健一郎

「世界で通用するために何をしなければいけないか」

言うまでもなくバスケットボールはアメリカ発祥のスポーツであり、NBAが世界のトップリーグとして君臨するのを始め、大学や代表チームなど各カテゴリーのトップにアメリカが位置している。日本でも広く普及しているものの、そのトップレベルはまだアメリカに遠くおよばない。昨年に誕生したBリーグは「世界に通用する選手やチームの輩出」を使命として掲げているが、ゴールはまだ見えないほど遠い。

Bリーグが誕生するはるか以前から「世界に通用する選手やチームの輩出」という命題に向き合う人物がいる。『静岡ジムラッツ』代表、岡田卓也だ。国内でスクールを運営しつつ、アメリカにチームを持ち、両者を交流させることで若い選手に『世界』を体験させる活動を続けている。

岡田は大学卒業にバスケをするために単身渡米。2002年から埼玉ブロンコスでプレーした後、再びアメリカに渡り、2005年からABA(アメリカの独立リーグ)でのキャリアをスタートさせた。その後、2010年に『静岡ジムラッツ』を立ち上げてABAに参戦している。岡田はジムラッツのオーナー兼プレーヤーであり、日本では子供向けのクリニックやキャンプを開催するなど、精力的に活動している。

岡田が考えているのは「世界で通用するために何をしなければいけないか」。それに20年間取り組んでいるが、まだまだ差は縮まらない。

「やれるかどうか分かりません。でも、成功したら勝ち」

日本人選手で将来を嘱望される渡邊雄太や八村塁にしても、岡田は必要以上に持ち上げようとはしない。「本当にすごかったらアメリカのランキングに出てきて、アメリカでもみんなに知られています。だから、まだまだですよ。地元では有名かもしれないけど、全米で知られているわけじゃない。ロンゾ・ボールだったら同じ年代でアメリカの誰でも知っている。NBAでやるとなれば、勝負するのはそこですから」

ただ、「アメリカには勝てない」とあきらめているわけではない。だから20年間も取り組み続けていられる。「身体能力では勝てないけど、スキルとかテクニック、IQの部分ではいずれ上がって来るような気がします。(ステフィン)カリーのようなシューターとかアイザイア(トーマス)とか、フィジカルは付いてきましたが、そこじゃない部分で勝負していますから」

いずれ世界に通用する選手が出てくることを信じて、彼は日本人の子供をアメリカに連れていく。アメリカの空気に触れただけでバスケが上達するわけではないが、それを承知で岡田は活動を続ける。「きっかけを作ることで、イメージが付きます。次に行くまでに準備ができます」

経験させて、どんどんアプローチさせていく。「田臥(勇太)だってNBAでは無理だった。でも、早い段階できっかけを得られたんだと思います。日本人からすると、名門高校に行き、名門大学に行き、今だとBリーグに行くのが『王道』でしょう。でも、それより上を目指すのであれば、できるだけ早い時期にきっかけがあったほうが良いんです」

岡田はあきらめない。「やれるかどうか分かりません。でも、成功したら勝ちです」

あきらめなければ負けない。いずれ世界を相手に活躍する選手が出てくると岡田は信じて活動を続けている。そして、上を見るのと同時に、別の道への目を向けることも忘れない。「NBAは一つの目標かもしれませんが、それが全部じゃない。きっかけがあって自分の将来を考えて、選手じゃなくトレーナーになってもいいし、全く違う弁護士を目指してもいい。いろんなカテゴリーで学べる環境があればいいと思います」

3×3日本代表の選手育成コーチを務めるが、それも岡田の幅広い活動のほんの一部。これからも岡田はいずれやって来る成功を信じ、バスケにかかわる多くの人にきっかけを与え続けていく。

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