文・写真=鈴木栄一

ロースコアに持ち込まれるも終始千葉ペース

10月7日、ともに開幕2連勝スタートの千葉ジェッツと京都ハンナリーズが、千葉の本拠地である船橋アリーナで激突した。昨シーズンの最多観客動員を誇る千葉のホーム初戦は4871人と『大入り』に。観客席がぎっちりと埋まったアリーナで試合を通して崩れないディフェンスの光った千葉が、76-63で危なげない勝利を収めた。

千葉は、試合開始から約5分で8-1として主導権を握ると、前半を34-25と京都をロースコアに抑える。後半に入っても千葉が主導権を握り続け、常に2桁近い点差で試合が推移する盤石の試合運びだった。

千葉の大野篤史ヘッドコーチは、「選手も僕も自分たちの速いテンポを出すことがあまりできなくてすっきりしない試合というところはありました。ただ、ディフェンスでしっかり自分たちの時間が来るまで我慢し、粘れたことにチームの成長を感じました」とコメントする。

そして富樫勇樹も「なかなか自分たちのテンポは出せなかったですが、我慢をすることができました。そして要所で自分たちのテンポに持って行き、そこで点差を開けられました」と語り、指揮官とエースがともに我慢の勝利だったと振り返る。

富樫は18得点6アシストと『主役の働き』を披露

千葉はギャビン・エドワーズが20得点4リバウンド2ブロック。富樫が18得点6アシスト、マイケル・パーカーが13得点9リバウンドと、主役がしっかり仕事を果たしたが、指揮官は脇役の奮闘も大きかったと語る。

「富樫とギャビンが目立ちましたが、アキ(チェンバース)のプレーが自分たちの勝利につながったと思います」と、約23分の出場で7得点9リバウンド、3アシスト3スティール1ブロックと攻守において躍動したチェンバースを高く評価。そして、「伊藤(俊亮)が約5分ですが、しっかりつないでくれたのはギャビンを休ませるのにすごく助かりました」とチーム一丸の勝利であることを強調した。

一方、敗れた京都は、「千葉のプレッシャーとボールサイドへの寄りに対し、ゲームを通してターンオーバーが多くてリズムに乗れなかったです」と浜口炎ヘットコーチは言う。実際、ターンオーバー奪取からの得点は千葉が29だったのに対し、京都は9とあまりに大きな差となった。そして、インサイド陣のサイズで上回りながらゴール下のペイント内の得点では、千葉の40に対して28と、アドバンテージを取れなかったのも痛かった。

また、先週の試合では出場機会の少なかった晴山ケビンを3番ではリーグ屈指のサイズを持つ小野龍猛のインサイドアタック対策として先発起用。大野ヘッドコーチ、富樫の発言が示すように、千葉に我慢を強いらせるなど守備はある程度は機能したが、「もう少しディフェンスで踏ん張りたかった」(浜口ヘッドコーチ)と、相手を慌てさせるまでには至らなかった。

それでも見方を変えれば、計22ものターンオーバーを喫しながらも多くの時間帯で千葉のペースに持ち込ませなかったのはプラス材料。明日への光明も見えた試合ではあったはずだ。明日は千葉が持ち味の高速バスケットボール全開で連勝を収めるのか。それとも京都が堅実なゲーム運びでよりスローな試合に持ち込み勝機を見いだすか。真逆の個性を持ったチームだけに、明日はより『テンポ』に注目したい。