ジョシュ・スコットを中心にリバウンドを制す
島根スサノオマジックのB1ホーム初戦、『王者』栃木ブレックスを相手に堂々の戦いを演じ、オーバータイムの末に勝利した。
この試合に向け、島根が特にディフェンスで完璧な準備を整えていたことは立ち上がりのプレーから明らかだった。インサイドにボールを入れさせず、ドライブにも身体を張った対応で粘り、イージーシュートの機会を与えずにロースコアの展開を作り出す。しかし攻めではシュートタッチが悪く得点が伸びず、リバウンドで上回った栃木に8-14と第1クォーターを取られた。
しかし、両チームともオン・ザ・コート「2」となった第2クォーターになると、208cmのジョシュ・スコットと214cmのギャレット・スタツがリバウンドを押さえ、タフなディフェンスを継続して試合の流れを呼び込む。外国籍の2人は身長で優位があっても油断せず、難しいボールはティップしてチームでリバウンドを押さえた。
こうして31-30と島根の1点リードで後半へ。栃木はこの程度のビハインドを背負っても慌てることなく、ピタリと背後につけて追うことで島根の動揺を誘うが、島根は自分たちのチームバスケットを確実に遂行。第3クォーター残り1分44秒にはリードしているにもかかわらず、鈴木裕紀ヘッドコーチは緩みが出る前にタイムアウトを取り、選手たちの意識を引き締めた。
第4クォーターに栃木は『王者の貫禄』を見せるも……
第4クォーターの立ち上がり、佐藤公威がファウルトラブル、相馬卓弥がケガで続行不能と立て続けにアクシデントが発生。ここを勝負どころと見た栃木はライアン・ロシターと竹内公輔、セドリック・ボーズマンのビッグラインナップを若い生原秀将が操り、試合を決めにかかる。
残り5分35秒に竹内を空けてしまい、コーナーからの3ポイントシュートを決められ59-60と逆転された島根。これまで多くのチームが栃木に善戦しても、終盤に辛抱しきれずに崩れていったが、島根はここでディフェンスで踏ん張り、その後の失点を許さずに我慢比べに持ち込んだ。
60-60と同点の残り2分35秒、栃木はベンチで休ませていた田臥勇太を戻して勝負に出る。その田臥は最初のポゼッションでミドルジャンパーを沈めて栃木にリードをもたらした。さらには次のポゼッションでボーズマンが正面からの3ポイントシュートを決め、65-60と突き放す。
今度こそ栃木で決まったかに見えたが、島根は個人ファウル4つの佐藤をコートに戻す。残り1分を切って、その佐藤からのパスを受けたブレンダン・レーンが3ポイントシュートを決めて2点差、島根が息を吹き返す。そして残り20秒、左コーナーでパスを受けた佐藤が、ディフェンスに定評のある遠藤祐亮を抜き去ってジャンプシュートを決めて65-65の同点に。試合は延長へともつれた。
プレータイムをシェアした島根が延長戦を制す
こうして迎えたオーバータイム、栃木にはもう足が残っていなかった。ロシターはほぼフル出場、竹内も遠藤もプレータイムが30分を超えていた一方で、全員バスケを徹底する島根はケガで出場できない波多野和也を除く11選手がプレータイムをシェアしていた。最も長くプレーしていたジョシュ・スコットもロシターより10分短い出場時間。佐藤も長くプレーしていたが、ファウルトラブルで第4クォーターに長くベンチにいたため足が残っていた。
島根のコートを広く使う展開に振り回され、ロシターも竹内もスコットを止められず、リバウンドも取れない。残り1分40秒、島根の出場11選手のうちプレータイムが最も短い(6分6秒)後藤翔平が強引にドライブ。遠藤をブチ抜き、ヘルプに来た竹内もかわしてレイアップをねじ込み、これで勝負アリ。ファウルゲームも難なく乗り切った島根が80-72で栃木を下し、B1での記念すべき初勝利を挙げている。
こうなればホームで連勝したい島根だが、栃木としては連敗はプライドが許さない。明日12時55分の試合開始までにどれだけの戦術的な準備をし、消耗した主力選手たちを回復させるか。栃木にとっては長い夜になりそうだ。