
因縁のあるレブロンとの接触プレーで冷静さを失う
今シーズンの開幕前にサンズはケビン・デュラント、ブラッドリー・ビールと高額年俸の両ベテランを放出し、ロスターの若返りを実施。指揮官もわずか1年で経験豊富なマイク・ブーデンフォルツァを解任し、今回が初のヘッドコーチ職となるジョーダン・オットを抜てきしている。
だが、この再編の目玉としてデュラントとのトレードでロケッツから加入した期待の若手ジェイレン・グリーンがここまでわずか2試合出場にとどまり、1カ月以上に渡り欠場が続いている。この大きな穴が生まれながらも、ここまでチームは14勝12敗とプレーオフ戦線にいる。この健闘を支えているのが絶対的エースであるデビン・ブッカーの平均25.1得点に次ぐ、チーム2位の21.6得点を挙げているディロン・ブルックスだ。
30歳のブルックスは、これまでグリズリーズ、ロケッツに在籍し、今シーズンからトレードでサンズに加入。キャリアを通じて主にディフェンス面を評価されてきたが、現在はオフェンスでもチームをけん引している。新天地でステップアップを果たしているブルックスだが、一方で闘争心が間違った方向に出てしまい、対戦相手を煽る不必要な行為をする悪癖は変わっていない。
現地14日のレイカーズ戦でサンズは114-116と惜敗。その試合、残り12秒でブルックスは114-113と逆転の3ポイントシュートを沈めた。しかし、その際のシュートチェック後でレブロン・ジェームズが接触したものの、ファウルはコールされなかった。直後にレイカーズがタイムアウトを要求すると、ブルックスはレブロンに詰め寄り、身体が接触したことで2度目のテクニカルファウルを科せられて退場となる。その後、レイカーズは残り3秒でレブロンが、3ポイントのシューティングファウルを獲得し、土壇場での再逆転へと繋げた。
ブルックスは、これまでレブロンに何度もトラッシュトークを仕掛けるなど2人の間には因縁がある。そういった背景があったにせよ、最後のテクニカルファウルは、いらない行為でチームに迷惑をかけたことは間違いない。『The Athletic』によると、今回の退場処分後、初の取材に応じたブルックスは「試合に出続けることで影響を与えていく方法を学んでいかないといけない。これはキャリアを通して僕の問題となっている」と反省している。
また、ブルックスは「みんなが僕を批判して『彼は良い選手ではない』と言うのは構わないけど、実際に僕はコートに立つことで試合の流れを変えられる」と続ける。このコメント通り、今のサンズにとって彼は欠かせない中心選手。だからこそ、今回の一件を踏まえ、彼には今度こそ精神面での改善を果たしてもらいたい。サンズがここから上位戦線にくらいついていくためには、グリーンの復帰とブルックスの成熟が必要だ。