リーグ勝率1位を走る川崎ブレイブサンダース、佐藤賢次の『理想と現実』(前編)

リーグ勝率1位を走る川崎ブレイブサンダース、佐藤賢次の『理想と現実』(前編)

2019/12/05

佐藤賢次

川崎ブレイブサンダースは、リーグ戦の中断期間を13勝3敗のリーグ最高勝率で迎えた。今シーズン開幕前、アシスタントからヘッドコーチへと昇格した佐藤賢次の下でチームが取り組んだ、積極的な選手交代で激しい強度を40分間維持するディフェンスを基盤とした新しいスタイルが好調の要因となっている。この序盤戦を振り返り、チームの収穫と課題を聞いた。

「控えなりに役割がないと強いチームにはなれない」

──開幕からここまでの2か月間の出来についてはどう考えていますか?

13勝3敗は非常に良い成績です。選手だけでなくチームスタッフも含めたみんなでハードワークした結果が、こういう形になっています。ただ、内容に関してはいろいろあり、イメージしていたのと違う部分もあります。

ハードワークをして、高い強度とエナジーを1試合通して続けていくことは基本的にはできていると思います。しかし、選手交代でプレータイムをシェアしていく上で、流れが切れてしまうことは何度も経験しました。選手はある程度の時間、継続してプレーしないとリズムをつかめない時もあり、そのバランスがすごく難しいとも感じます。

──そうなると、これからは選手起用に偏りが出てくることもありますか?

理想は変わらず12人でやりたいですが、例えば相手のエースに3ポイントシュートを決められるとか、一番やられてはいけないことをやられてしまうと、出しづらくなります。最低限やらなければいけないことをクリアしていないとコートには立てない、と選手には伝えてはいます。それができた上で12人全員がハードワークしていければ、もっとすごいチームになっていけると思います。

──実際、プレータイムをシェアするチームでも9人、多くても10人のローテーションがほとんどです。その中で、あえて12人全員で戦う理想を掲げることの意味を教えてください。

全員でやりたい、その思いは絶対的なものとしてあります。どの選手にも役割があり、川崎にいる意味がある。このチームにいる以上は絶対に必要な戦力です。僕自身、川崎での現役時代はずっと控えで、控えなりに役割がないと強いチームにはなれないというのは経験しています。綺麗にみんな均等にはならないですけど、ばらつきがある中でも全員でのバスケットをしたい。それが理想です。

佐藤賢次

ビッグラインアップ「博打という感覚はなかった」

──ここまでの戦いの中でも、まずは開幕週で宇都宮ブレックスに連勝したのは大きかったと思います。特に2戦目にいきなり先発で、ニック・ファジーカス、マティアス・カルファニ、ジョーダン・ヒースの3人を同時起用するビッグラインアップを使ったのは驚きでした。

開幕戦に関しては、実際にやってみて気づくことの方が多かったです。前半は多少ミスが出ましたけど、後半にディフェンスが効いて、やりたいことができました。2戦目のスタメンに関しては、1戦目の結果もあって相手が出だしからすごいエナジーで来ると予想していました。その時間帯を上手くしのぐためには、ウチで1番ハードワークできるメンバーで行こうと考えた結果です。思い切った起用、博打とかという感覚はありませんでした。

──ここまでビッグラインアップを積極的に使っている印象です。これはカルファニ、ヒースの両選手を獲得した段階で、プランにあったものでしたか?

チームに合流して彼らのプレーを見てから決めています。もともとは2人ともビッグマンだと思って獲得しています。それが試合を見ると、どんなことにも対応できる選手だと感じました。今、相手はウチのビッグラインアップが嫌だろうと思います。めちゃめちゃ走りますし、リバウンドが強い。ハーフコートオフェンスで上手くいかないところがまだありますが、そこはやっていけば必ず良くなる感覚はあります。メインではないですけど、一つのオプションとしてずっと使い続けていこうとは思っています。

──プレータイムをシェアすることで激しい守備を遂行するスタイルを推し進めていますが、最も出場機会が多いのは運動量豊富なタイプとは見られていないファジーカス選手です。そこは、やはり彼がチームの大黒柱だからですか。

ニックが中心のチームであることは間違いないです。ただ、今の起用法はニックの特徴や試合の流れなどバランスを考えて組み立て、彼とも話して、いろいろなことを考えての結果です。それで平均32分くらいになっています。ニックが出ている時間帯はどうしてもディフェンスで狙われてしまうところはありますが、そのマイナスを超えるプラス要素がある。このプレータイムは、シーズン前に話していたこれまでの序列を完全に壊した上での数字だと思っています。

佐藤賢次

「今はバランスを探しているところ」

──ファジーカス選手は、ここまで自己最多のペースで3ポイントシュートを打っています。これはチームのプランなのか、それとも、意識したわけではなく偶発的にこうなったのでしょうか?

結果として3ポイントシュートが多くなっています。今、チームとしてやろうとしているオフェンスは、相手より先に準備をする。スペースを取ってボールを動かし、仕掛けを早くしてペイントタッチを行う。そこからドライブ&キックをやり続けることを習慣にしてきました。

『キープランニング』と言い続けていて、走り続けることでオープンショットとイージーショットをたくさん作り出そうと言っています。その結果、ニックを始めビッグマンが3ポイントシュートを打つことが多くなり、そこでしっかり決めきっている。もともと狙っていたというよりは、チームのコンセプトをやりきっている中でこうなっている感じです。

──ここまで3ポイントシュートの確率でチームトップ3はビッグマンの3人です。ガード陣よりも成功率が高いですね。

うれしい誤算ですが、本当にあの3人はめちゃくちゃ練習しているので、その成果ですね。ガード陣にもっと頑張ってもらいたいところは絶対にあります。ただ、起用法に関して、ビッグマンはまとまった時間プレーしています。その中で良いシュートチャンスがきて、波に乗れているところはあります。一方、ガード陣は、激しく動き回って5分くらいで、ゼーハーと息が荒くなってきたら交代している。そうなるとシュートを1本も打たないでベンチに下がることもあって、そこで波に乗り切れていないのは僕の責任もあります。今は、そのあたりのバランスを探しているところです。

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