「来年の9月には、チームに合流できないんだと思うと怖い」
ビンス・カーターは2019-20シーズンを最後に現役を引退することを発表している。今シーズンのホークスの試合には、カーターの最後の雄姿を見ようとするファンが各地から押し寄せるだろうが、彼は『ラストイヤー』だからという理由で注目されるのを好まない。「とてもうれしいけれど、自分が中心になりたくはないとも考えてしまう」と、カーターは『AJC』 に語った。
現役引退は自らの決断だが、それでもすべてを受け入れるのは難しい。その複雑な感情をカーターはこう語る。
「やるべきことをやるだけ。それでも、これだけ長くプレーしてきて、来年の9月にバスケットボールをプレーする準備をせず、もうチームに合流できないんだと思うと怖いよ。だって22年もやってきたからね」
カーターのキャリア年数にも満たない年齢の選手も所属するホークスにおいて、カーターは今シーズンも精神的な柱としての役割を担う。ヘッドコーチのロイド・ピアースからは、練習中にもどんどん意見を言うように勧められている。ただ、本人からすればこの役割に慣れるのも大変だったそうだ。
「自分が練習を仕切っているように思われたくなくてね。コーチになりたくはないんだ。しかし、メンターとして若い選手の力にはなりたい。球団の顔ではなくても、チームのリーダーでいたいんだ。良くも悪くも、みんなから頼られる存在でいたい」
ラストイヤーで最も注目される試合は、2020年1月28日に予定されているトロントでのラプターズ戦だ。NBAキャリアをスタートさせた古巣との試合では、間違いなく「We want Vince!」のチャントが会場内に響き渡る。
カーターは「自分はホークスの選手」と答えたが、偽らざる気持ちを明かした。
「こんなに長くやった今も、周りから求められたり、評価してもらえるのはありがたい。ラプターズは自分のキャリアが始まったチームだ。いろいろなことがあったし、自分の名前が知られるきっかけになったチームでもある。もしチャントをしてもらえたらうれしいし、ゾクゾクするだろうね」