『バスケット・グラフィティ』は、今バスケットボールを頑張っている若い選手たちに向けて、トップレベルの選手たちが部活生時代の思い出を語るインタビュー連載。華やかな舞台で活躍するプロ選手にも、かつては知られざる努力を積み重ねる部活生時代があった。当時の努力やバスケに打ち込んだ気持ち、上達のコツを知ることは、きっと今のバスケットボール・プレーヤーにもプラスになるはずだ。
1991年8月12日生まれ、千葉県出身。ドライブやアシストを高いレベルでこなす、オールラウンドな能力を備えたスモールフォワード。日本代表ではシューターを任され、クイックモーションから次々と放つ3ポイントシュートので流れを引き寄せる。
期待されているのであれば、それに応えたい
ここまで挫折もありましたが、バスケをやめようとは思わなかったです。日本代表に入れなかった時や、入れても試合に出れなかった時、富士通では試合に出られないままケガでシーズンが終わってしまった時とか。でも、いろんなところで挫折があるから、それでまた次の目標を立てて頑張れるんです。
挫折した時に仕切り直してまた努力できるようになるコツは……。コツかどうかは分かりませんが、私は「自分らしくやろう」といつも考えるようにしています。ケガをした時、他の誰かとの比較で負けたと感じた時は、まずは自分のことだけ考えて開き直るようにしています。
3ポイントシュートが決まらない時にどうやってメンタルを保つのか。代表ではシューターですが、私はもともとシューターではないので、落ち込む時は落ち込みますね。結局、開き直った時に決まり始めるものなので、入らなかったら開き直るだけです(笑)。1本決めたらシュートはどんどん入るものです。だから惜しいシュートが何本も続いても気にしない。変なシュートを打ってしまっても、次の1本を決めるまで開き直って打ちます。
アジア選手権ではシューター全体がそれほど調子が良くなかったので、自分が決めていかなきゃ、という思いはありました。リオ五輪に向けても3ポイントシュートの期待は大きいと思いますが、プレッシャーというよりも「頑張らなきゃ」と前向きに受け止めています。
アジア選手権では予選の中国戦から試合に出るようになったのですが、それまでスタメンで出たことが一回もなかったのに、いきなり強豪の中国が相手だったので、本当に「やめてくれ」と(笑)。かなり焦ったのですが、決勝戦では開き直ってプレーすることができました。
シューターとして代表に選ばれている以上、シューターとして貢献したいという気持ちはあります。プレッシャーはありますが、それが嫌だという気持ちはありません。期待されているのであれば、それに応えたい、という一心です。
今は五輪でメダルを取るという目標に向けてチームが一つになっています。私もシューターとして、その目標達成のために貢献したいと考えています。バスケをメジャーにする大きなチャンスだと思うので、一生懸命やって結果を出したいです。
日本代表にいる選手は意識が高いです。今までの私はシューティングとなると普通に打つだけでした。ですが代表を経験した今は、自分の打つ動きとか試合状況を想定しながら打つようになっています。どのトレーニングでも自分の弱いところを意識したり、この部分をもっとやろうという意識を持つようになっています。代表にいると得るものがたくさんあるということですね。
本当に上を目指してバスケをやるのであれば、ストイックにやらないといけないのと同時に、やっぱり楽しんでバスケができないと続けられないです。上を目指すのに何が一番必要かと言えば、自分の長所をいかに伸ばすかだと思います。自分の特徴をしっかり考えて、長所を見付けて、目標を持ってバスケを続けてほしいです。
バスケット・グラフィティ/山本千夏
vol.1「みんな一緒にうまくなろう」
vol.2「目標は細かく設定するタイプ」
vol.3「挫折があるから次に頑張れる」