ビクター・ウェンバニャマ

ウェンバニャマ「ミスを犯し、そこから学んできた」

29点差から逆転負けを喫し、NBAファイナルで1勝3敗と追い込まれた試合後、スパーズの選手たちは動揺を隠せなかった。しかし、それから2日が経過し、ホームに戻っての第5戦を翌日に控えた現地6月12日の会見では、全員が気持ちを切り替え、もう後がない試合に臨む正しいメンタリティを取り戻していた。

ヘッドコーチのミッチ・ジョンソンは、「周囲の意見は気にしない。SNSの意見が正しければ、私はこれまでに212回ぐらい解任され、ディアロン(フォックス)は72回ぐらいトレードに出されているはずだ(笑)」と語る。

「大切なのはチームの結束力だ。我々は過小評価を覆してここまで来た。その中で私とディアロンはオールスター・ウィークエンドを始めポジティブな出来事をたくさん経験してきた。NBAファイナルで厳しい負けを喫するのも、我々の仕事の一部だ。明日も勝負どころでボールを託されるのはディアロンだろう。これまで何度もやってきたように結果を出してくれると信じている」

フォックスもネガティブな感情から抜け出し、「これまでの試合で分かったのは、僕たちにも勝つチャンスがあるということだ」と力強く語る。「4試合すべてで最大リードを奪ったのは僕たちだ。本当の戦いはリードを奪ってから始まる。終盤に重要なプレーを決めてきたのはニックスだけど、ここからは僕たちがリードを保ち、広げ、接戦に高い遂行力を発揮してみせる」

「1勝3敗からひっくり返すのが困難なことは知っているけど、過去に例がないわけじゃない。それに、その時のチームは負けた時には大敗していたのに、僕らは負け試合もすべて接戦だ。だからチャンスはある。まずは明日勝つことだけを考えるよ」

第4戦の試合終盤に冷静な判断を下せなかったフォックスには批判が集中しているが、「別に僕の電話番号を知っていて、電話してくるわけじゃないからね。テレビも見ていないし、どうでもいいことだ」とフォックスは言う。「面と向かって怒鳴られるわけじゃない。起きてしまったことは変えられないから、ミスから学んで次に進むだけだ」

そしてスパーズの誰よりも気持ちの切り替えが必要なビクター・ウェンバニャマは、アリーナからの移動の際に卵を投げつけられた出来事をどう受け止めているかと質問されて、「気にしていない。映像を見て良い気分にはならないけど、それで動揺したりはしない」と落ち着いて答えた。

「あの第4戦から意識を切り替えるのは、これまでのどの試合よりも難しかったけど、今はもう乗り越えた。プレーオフで後悔している時間はないよ。確かに終盤は疲れがあった。でもプレーオフでは誰もが同じように疲れているから言い訳にはならない。中2日の試合間隔があるから、もう影響はないよ」

スパーズが負け始めると必ず『経験不足』が指摘され、それに抗うのも彼らの仕事だ。ウェンバニャマは「このファイナルも含めて、プレーオフを通して僕たちはステップを飛ばすことなく進んできた。ありとあらゆるミスを犯し、そこから学んできた。シリーズが終わるまでにすべてを学び取り、それを試合でぶつけるつもりだ」と語る。

「僕たちは大丈夫だ」とウェンバニャマは力強く言い切った。「チームの全員が『やるんだ』との気持ちを持っている。先のことを考えてエネルギーを無駄にしたりはしない。目の前の一戦に集中して戦うよ」