「自分でペイントをこじ開けるところから始まる」

ポストシーズンの勝負どころでチームを勝利に導く働きができる選手を『スター選手』と呼ぶのなら、デニ・アブディヤは今年2月のNBAオールスター初選出ではなく、現地4月14日のプレーイン初戦で、その評価を勝ち取ったと言えるだろう。

トレイルブレイザーズvsサンズは最後の最後までもつれる接戦となったが、アブディヤは41得点7リバウンド12アシストの大活躍で、チームをプレーオフへと導いた。

敵地でサンズと対戦したブレイザーズは、持ち前のフィジカルを生かしたプレー強度の高さで序盤にリードを奪うも、第3クォーター終盤から第4クォーター序盤にかけて4-21のランを浴び、2桁のビハインドを背負った。サンズはデビン・ブッカーがディフェンスを引き付けてオフェンスの流れを作り出し、自ら得点を奪うだけでなくジェイレン・グリーンとディロン・ブルックスのシュートチャンスを演出。ホームの後押しを受けたサンズの勢いは、試合のクライマックスが近付くにつれて増していくように感じられた。

第3クォーター途中まで2桁リードしていた状況から、11点のビハインドに。これでブレイザーズは意気消沈してもおかしくなかったが、経験豊富なドリュー・ホリデーとジェレミー・グラントがチームを崩れさせなかった。

そして、レギュラーシーズンより強度が数段高い試合で38分プレーするアブディヤが、心身ともに疲れを見せず、むしろキレを増して勝負どころで大胆不敵な攻めを見せる。今シーズンを通じてブレイザーズを勝利に導いてきた高速ドライブから、ヘルプに入るビッグマンのブロックをかわすスキルを駆使して次々とシュートを決めていった。

サンズとしてはディロン・ブルックスが個人ファウル5つとなり、アブディヤへの守備の強度を落とさざるを得なかったのも災いした。ジョーダン・グッドウィンもブッカーも、エンジン全開のアブディヤは誰が付いても止められなかった。

アブディヤは「自分でシュートを打つにせよ、キックアウトで味方に打たせるにせよ、とにかく自分でペイントをこじ開けるところから始まると思っていた」と語るとともに、第4クォーター残り7分で11点ビハインドの状況で、崩れることなく反撃に転じたチームの精神力の強さを誇った。

「シーズン序盤の僕らだったら、規律を守れずにバラバラになっていただろうね。でも今日はチームとしての成長を見せることができた。落ち着きを保ち、チームとして勝利に繋がるプレーができた。サンズも攻守の強度が高く、泥臭い試合になったけど、僕らは最後まで冷静さを失わず、それでいてアグレッシブだった。チーム全員でつかみ取った大きな勝利だ」

若いチームにとって、アグレッシブすぎることは時にマイナスになる。この試合でも終盤に絶好調だったアブディヤが、シュートは決めたものの相手の接触にファウルをもらえず、審判に詰め寄る場面があった。完全に熱くなっていた彼を、すぐさま審判から引き剥がして落ち着かせたのは、大舞台を数多く経験するホリデーだった。

「あれはファウルだったと思うけど、あのままだったら僕がテクニカルを取られていたところだ。あそこで僕を落ち着かせてくれたドリューは、ベテランらしい落ち着いた振る舞いだったね」とアブディヤは笑う。

若さがもたらす勢いと、ベテランがピンポイントで注入する落ち着き。その2つが今のブレイザーズを強いチームへと引き上げている。「僕自身の成長も感じるけど、それ以上にチームとしての成長が大切だ」とアブディヤは言う。

「仲間たちが僕を支えてくれなければ、今日の活躍はない。僕のドライブが決まったのは、そのたびにシェイドン(シャープ)が僕の得意なスペースを作ってくれたからでもある。全員が勝利のために正しいプレーを選択し続けたんだ。シーズン序盤なら、今日の展開で逆転勝ちを収めることはできなかったと思う。自分たちの成長と、今のチームの姿を誇らしく思うよ。これからもアグレッシブに、そして正しいプレーを続けて勝っていきたい」

かくしてブレイザーズは第7シードでプレーオフ進出を決め、ファーストラウンドではスパーズと対戦する。