レブロン・ジェームズ

「バスケは真剣に向き合った者に必ず報いてくれる」

サンズは西カンファレンスの7位が確定しており、プレーイン・トーナメントでの必勝を期すべく、レギュラーシーズンのラスト2試合では休養を優先させ、現地4月10日のレイカーズ戦ではデビン・ブッカーとジェイレン・グリーンを欠場させた。一方で、「良いリズムをキープするのも大事」という考え方で出場させたグレイソン・アレンはハムストリングを痛めてしまった。

これでサンズは腰が引けてしまった。一方のレイカーズは勝利を必要としており、順位がどうなるか以上にルカ・ドンチッチとオースティン・リーブスを欠いたラインナップで良い手応えを得たかった。こうして試合の主導権を握ったレイカーズが101-73の完勝を収めた。

レブロン・ジェームズは28得点6リバウンド12アシストを記録。特に第1クォーターにフィールドゴール4本すべて成功の14得点5アシストとオフェンスを力強く引っ張り、チームに勢いをもたらした。先発に復帰した八村塁も、試合最初のポゼッションでベースラインドライブからリバースレイアップを決めてすぐさまリズムをつかむと、攻守に強度の高いプレーを見せて13得点を記録。ルーク・ケナードも19得点と好調をキープしている。

今シーズンになって、レブロンはエースの座をドンチッチに譲った。それだけではなく、ケガの多かったリーブスがシーズン中盤からコンスタントにプレーするようになると、彼にも譲歩して自ら攻撃をクリエイトする機会を減らした。今シーズンのレブロンのフィールドゴール試投数はキャリア最少の15.3。ドンチッチの22.8より大幅に少なく、リーブスの14.9とほぼ同じ。3月以降はリーブスがレブロンより多くのシュートを放っていた。

長いキャリアを通じて常に絶対的なエースであり続けたレブロンにとっては『新たな現実』だが、彼はチームの勝利を優先し、自分の契約が約束されていない来シーズン以降も見据えて譲歩を受け入れた。

しかし、レギュラーシーズンの最終盤になって状況が変わった。ドンチッチもリーブスもケガをし、復帰を目指してはいるがプレーオフのファーストラウンドは戻って来れない想定で準備をしなければならない。かくしてレブロンは『王様』の地位を取り戻し、直後のマーベリックス戦では感覚を取り戻せず惨敗を喫したものの、直近の2試合ではエースとして素晴らしいプレーを見せている。

「昔から慣れ親しんでいた役割に戻った。今シーズンはそうじゃなかったけど、チーム状況によりこうなった。僕はただチームメートを生かし、チームメートに生かされて、チームが良い戦いをできるよう一生懸命プレーするだけだ」

そう語るレブロンのパフォーマンスを、ヘッドコーチにして友人でもあるJJ・レディックは「司令塔としてのプレーメーク、得点、守備、リバウンド。そのすべてをチームとして彼に求める状況となった。それを理解し、非常に集中して、ここ3試合すべてで素晴らしいプレーを見せてくれている」と称賛する。

41歳となり、ベテランという言葉では表現できない『未知の領域』に足を踏み入れたレブロンは、ずっとエンジン全開というわけにはいかない。そのためにドンチッチやリーブスへの譲歩を受け入れたのだが、チームから求められれば躊躇なくアクセルを踏み込む。この年齢でシーズンこの時期に十分なエネルギーを残しているのは驚異的と言うしかない。

「本当に偉大な選手になりたい、その地位に長くいたいと思ったら、多大な犠牲と規律が求められる。やりたいことを我慢する場面もたくさんある。でも、バスケは時間をかけて真剣に向き合った者に必ず報いてくれるものだ。僕はそう信じているから、どのプロセスも誤魔化さない」とレブロンは言う。

「僕の『果汁』を最後の一滴まで絞り出すんだ。僕はバスケが大好きだから、高いレベルでプレーする機会を与えられたからには全力で向き合いたい。今は死ぬほど疲れていて、さっさと帰って何か食べて寝たい気分だけど(笑)、試合ではやるべきことをやるんだ」