2月に加入したシューターがスランプ脱却の1本を決める

マジックvsレイカーズの終盤は、審判が映像を確認する時間ばかりが長く、集中を保つのが難しかった。104-102とマジック2点リードで迎えた残り4.1秒、ジェイレン・サッグスはリスタートのパスを入れ損ねたが、それがレイカーズの選手に当たったかどうかは映像でも見極めが難しい微妙な判定で、映像の確認には時間がかかった。

審判はレイカーズボールの判定。マジックはチャレンジするも覆らなかった。ここでレイカーズはタイムアウトを取る。マジックのディフェンスはゴール下に飛び込むレブロン・ジェームズのマークを外してしまい、イージーな得点を奪われるかに見えたが、ポンプフェイクの間に戻るのが間に合ったパオロ・バンケロがシュートを叩き落す。これもファウルかどうかの確認に時間が取られた。そして映像を確認した結果、ファウルは認められなかった。

残り2.6秒、エンドラインからレイカーズの攻撃は再開される。マジック守備陣は先ほどのプレーで見失ったレブロンを警戒し、レブロンがゴール下に飛び込むと2人が引き寄せられた。

「JJ(レディック)がホワイトボードに描いたプレーコールが素晴らしく、僕らはそれを完璧に遂行した」とレブロンは言う。「同時に複数のアクションが起きていたけど、僕の役割はリムに向かって激しくダイブして『引力』を生み出すことだった。そのおかげでNBA屈指のシューターが完全にフリーになり、マーカス(スマート)がその状況をしっかり読み取ってパスを出した」

レディックがデザインしたセットプレーは、ドンチッチかレブロンがシュートを打つものだった。オースティン・リーブスがケナードにスクリーンを掛け、ケナードはドンチッチにスクリーンを掛ける。この動きの間にレブロンはダイブする。これに対してマジックはエース2人をフリーにしなかったのだが、ここでスマートは的確な状況判断をした。「念のためのアウトレットとして」外にポジションを取り、完全にオープンになったルーク・ケナードにパスを出したのだ。

レブロンの引力にディフェンスが引き付けられた後方で、ケナードの手にパスが収まり、キャッチ&シュートで放たれたボールはリムの中央を正確に射抜いた。残り0.6秒、タイムアウトを使いきっていたマジックに成す術はなかった。試合終了のブザーとともにベンチからチームメートが飛び出し、ケナードは揉みくちゃにされた。

「マーカスがパスを出してくれた瞬間にオープンで打てるのが分かったし、リリースした瞬間に入ると確信した。あの感覚を言葉で説明するのは難しいけど、気持ち良い瞬間だったよ」

ケナードはNBAキャリア9年目のシーズンをホークスで迎えるも、2月のトレードデッドラインでゲイブ・ビンセントとトレードされてレイカーズにやって来た。まだプレータイムも役割も定まっていないが、この日はラストショットの前にすでに3ポイントシュート2本成功を含む10得点を挙げていた。

「レイカーズの新たな一員となって、現時点ではまた人間関係を築き、自分の役割を模索しているところだけど、そもそも僕がここに呼ばれた理由はシュートを打つことだ。チームが勝ててうれしいし、個人的にも手応えのある1本だったよ」とケナードは言う。

この試合の前、ケナードはスランプに陥っていた。この10日間での5試合の得点は3、3、0、5、0で、この間の3ポイントシュートは12本中3本成功と低調だった。

「トレードされた当初は調子が良かったのに、ここ数試合は苦しんでいた。僕は完璧主義者で、シュートが入らないと考えすぎてしまうんだけど、今朝のシュートアラウンドでJJは『君らしく自信を持って打ち続ければいい』と言ってくれた。現役時代の彼は僕と同じ役割でプレーしていて、その経験を教えてくれる。経験豊富なシューターがコーチになって、僕の頭の中を整理してくれた。それでここ数試合のスランプを忘れて、自分のプレーに集中できた。今日の活躍はコーチのおかげだと思っているよ」

これでレイカーズは9連勝。直近の13試合で12勝を挙げており、しかも13試合が勝率5割以上のチーム。ドンチッチ、レブロン、リーブスの超強力トリオに加えてケナードのような『飛び道具』まで機能し始め、チームの勢いは最高潮に達しつつある。