
求められるトランジションオフェンス
今シーズンのレバンガ北海道は日本代表シューターの富永啓生、NBAからドラフト1巡目指名を受けたジャリル・オカフォーといった強力なメンバーが加入。21勝39敗だった昨シーズンはチャンピオンシップ(CS)出場クラブと18勝差を付けられていたが、現在31勝とCSを争う立場にいる。
選手の大型補強だけでなく、指揮官に国内外で数多くの実績を持つトーステン・ロイブルを招聘し、抜本的なチーム改革を行なった。その結果、平均得点は昨シーズンの75.5から87.9に上昇し、レギュラーシーズン第20節を終了した時点では東地区のトップに躍り出ることもあった。
その北海道は第30節に佐賀バルーナーズと対戦。試合開始からオカフォーがインサイドで連続得点を重ねると、トランジションオフェンスから主導権を握っていった。このペースを作ったのが、今シーズンから先発に定着した島谷怜だ。北海道には長きに渡ってメインハンドラーを務めていた寺園脩斗が在籍していたが、今シーズンに神戸ストークスへ移籍。大学でトップクラスの実績を持ち、昨シーズンは越谷アルファーズでプレーした市場脩斗が加入したが、新指揮官の下でスターターの座を射止めたのは、島谷だった。
ロイブルヘッドコーチは、佐賀のウィークポイントがトランジションディフェンスであることを明かし「トランジションでペースを上げて、ペイントアタックをし、ペネトレーションからのボール捌きを島谷選手には求めていました」と語った。実際に島谷もアップテンポなバスケットが得意分野だと自負している。
このオフェンスは見事にマッチし、前半はリードして折り返す形となったが、後半に入るとここまでタフショットで打たせていた3ポイントシュートを佐賀の得意なフローオフェンスによって展開され、相手のペースで打たれる場面が多くなってしまう。それに加えて富永が第2クォーターで痛めた腰が原因でプレータイムを伸ばすことができず、オフェンスにも混乱が生じた。
島谷は相手にペースを握られてしまったことについて「(富永が抜けても)強力な選手がいる中で、そこを起点にしながら、周りがもっとやる必要があったと思いますし、そこの動きを作れるようにもっとチームに声かけする必要がありました」と反省の弁を述べた。
その後は一時逆転するが、1ポゼッション差を争う試合を勝ち取ることができず(76-79)、チャンピオンシップ出場を目指すチームにとって痛い黒星を喫することとなった。

「プレッシャーはありますが、すごく楽しいです」
悔しい敗戦となった北海道だが、まだチャンピオンシップ出場の灯火は消えたわけではない。だが、これからの北海道は上位チームとの戦いを多く残している。そして今回は、富永が試合途中に抜けるアクシデントにも見舞われた。もし仮にエースシューターがプレーできない可能性がある状況を、島谷はこう考えている。
「誰か一人で(富永の抜けた穴を)補えるわけではないので。それぞれが2点、3点とポイントを重ねることで、彼の分の得点も補えると思います。それでも点数は全体的に落ちるかもしれないですが、ディフェンスをしっかりハードにやることも一つ重要だと思うので、全員でやっていきたいです」
得点源が失われた時、重要になるのは強固なディフェンスだ。北海道はリーグ2位の得点力を誇っているが、平均失点はワースト2位。得点力が落ちる可能性がある以上、失点を抑える必要がある。島谷もロイブルヘッドコーチから「僕がスタートで出る時に、ディフェンスの圧力をかけていくことが大事だと言われています」と語ったように、この守備の意識を残りの10試合でいかに修正していくかが、チャンピオンシップ出場へのカギとなるだろう。
だが、島谷は厳しい戦いに向けて語っている時も時折笑顔を見せてくれた。その理由は、今シーズンの戦いぶりが影響している。レギュラーシーズン中盤には12連勝の快進撃を見せ、後半戦に入ってもポストシーズンを争い続けていることに島谷は喜びを感じているのだ。「今までチャンピオンシップ出場を争うことはなかったですし、この時期になるとやっぱり消化試合になることが多かったので、そういう意味でプレッシャーはもちろんあります。ですが、それよりもこの時期までしっかりと意味のある試合を戦えているということは、すごく楽しいです」
まだ目標を達成したわけではない。島谷はこの状況を楽しみながらも気を引き締める。「チャンピオンシップに行くチャンスは毎年くるわけではないと思うので、つかみ取りたいです」