ブルズ

再建に転じた今シーズンの編成も迷走、フロント一新に

ブルズは2020年から6年間に渡り球団副社長を務めたアルトゥラス・カルニショバスとマーク・エバースリーGMの解任を発表した。

2020年のブルズは3シーズン連続でプレーオフ進出を逃しており、カルニショバスの最初の仕事はジム・ボイレンを解任し、ビリー・ドノバンを新たなヘッドコーチに据えることだった。再建1年目にはニコラ・ブーチェビッチを獲得し、それでも東カンファレンス11位でプレーオフを逃すと「もうポストシーズンを座って見ている状態にはしない」とファンに宣言し、この年のオフにはデマー・デローザン、ロンゾ・ボール、アレックス・カルーソと積極補強に打って出た。

再建2年目の出だしは上々だった。個性的なタレントが噛み合い、1月中旬の時点で28勝15敗で東カンファレンス首位を快走。しかし、高速バスケで選手個々の能力を引き出していたロンゾ・ボールが左膝半月板の手術で戦線離脱するとチームは文字通り失速してしまった。6位でプレーオフに進出するも、ファーストラウンドでバックスに1勝4敗の完敗を喫している。

ここからカルニショバスの迷走が始まる。新体制になって最初のバスケが鮮烈すぎたことで、復帰の目処が立たないロンゾに固執したのを皮切りに、『継続性』を言い訳にして補強を行わなかった。

その後は3シーズン連続でプレーイン・トーナメント敗退。今のNBAで最も効率が悪いとされる『中位で負ける』を昨シーズンまで3年連続で繰り返すこととなった。ちなみに、この3度のプレーインではすべてヒートに敗れている。頻繁にロスターを入れ替え、激しいチーム内競争を勝ち抜いた勢いのある選手の台頭が常にあるヒートが勝ち続けたのは、『継続性』のブルズには皮肉な結果だった。

2024年オフにデローザンが退団し、エースのザック・ラビーンも昨シーズン途中に放出。カルニショバスはようやく動き始めたが、成果は出なかった。ジョシュ・ギディーを新たな司令塔に迎えた今シーズンも思うように勝てず、ベテランとなったブーチェビッチだけでなく、地元ファンお気に入りのコービー・ホワイトやアヨ・ドスンムといった生え抜きの中堅も放出。しかも見返りとして1巡目指名権を得られずわけでもなく、トレードでピストンズから獲得したジェイデン・アイビーは問題発言により解雇となった。

カルニショバスは6年間を通じてトレードに消極的で、そのほとんどが『仕方なく』行うために交渉で不利に立たされた。かと言ってドラフトで成功したわけでもない。6年間で7人の選手を指名したが、そのうち4人はもうブルズにいない(彼らを手離すトレードも上手くいかなかった)。2020年の1巡目4位で指名したパトリック・ウィリアムズは、6年目の今シーズンにベンチから出るロールプレーヤーでしかなく、彼に代わって先発しているマタス・ブゼリス(2024年の1巡目11位指名)も、即戦力ルーキーの2年目としては及第点の選手。昨年の1巡目12位で指名したルーキーのノア・エッセンゲは、ケガ続きで2試合にしか出場していない。

マイケル・ラインズドルフCEOは、今回のフロント更迭に際して「ファンの皆さんの苦悩は理解している。時間は掛かるだろうが、ブルズを高いレベルで戦える、最終的には優勝争いのできるチームにすることに注力していく。ファンの皆さんが誇りに思えるようなブルズを作るつもりだ」とコメントしている。

ブルズはかつての名オーナー、ジェリー・ラインズドルフが「タンキングは絶対に行わない」と宣言し、その文化は息子のマイケルにも受け継がれている。今シーズンは途中から明らかに故意に負けるようになったのだが、そのやり方が徹底されておらず、今は下から9番目の順位と中途半端な位置にいる。オフに向けて新たな球団の舵取り役を探さなければならないが、『ドラフト豊作の年』に上位指名権は望めず、再建はいきなり出遅れることになりそうだ。