渡邉伶音

群馬に終始主導権を握られて試合は敗戦

41日、アルティーリ千葉は敵地に乗り込み、群馬クレインサンダーズと対戦。試合の入りこそ悪くはなかったものの徐々に点差を広げられ、追い上げが必要となったが最終クォーターで逆に突き離されて59-84で敗れた。

翌日に20歳の誕生日を迎えたルーキー渡邉伶音は、試合を次のように振り返った。「ディフェンスで後手に回ってしまって、オフェンスも流れに乗れないまま、最後まで相手に集中力とフィジカルで圧倒されてしまいました」

その言葉の通り、群馬に主導権を握られ続ける試合となった。その中で渡邉は、序盤の点差が離されそうな場面で、オフェンスリバウンドをもぎ取りゴール下でシュートを成功させると、次のポゼッションでも得点を決め躍動してみせた。さらに第3クォーターにはワイドオープンの3ポイントシュートを落ち着いて沈めて、チームに流れを持ってきた。劣勢の展開が続いたが、積極性は見失っていなかった。

「コーチから『しっかりインサイドでのアドバンテージを使え』と言われていましたし、オープンショットなど、オールラウンドなプレーを求められています。今日は『どんどんアグレッシブにオフェンスリバウンドに行け』と言われていたので、そこは意識してやりました」

渡邉は、ディフェンスでも奮闘を見せる。外国籍ビッグマン2人と同時にコートに立つ時間が長かったため、ペリメーターディフェンスが求められた。さらにチームとしてスイッチディフェンスを多用するため、インサイドのディフェンスを担うこともあった。求められることは多いが、渡邉は上手くこなしていた。

「まだまだですが……」と謙遜した上で「相手のスカウティングをしっかりして、読みを入れて自分から仕掛けるディフェンスを考えてやっています。今は3番をやらせてもらっていますが、代表を目指すには4番もやらないといけないと思うので、 どのポジションで出たとしても良いパフォーマンスを出せるように意識しています」と自身のディフェンスに言及した。

渡邉伶音

「重要なのは最後までアルティーリのバスケをやり切ること」

渡邉は、直近8試合連続で先発を務めている。A千葉のアンドレ・レマニスヘッドコーチは「彼は非常に良い成長の過程を踏んでいます。若い選手は不安定なことが多いですが、彼はチームの底上げができる選手です。落ち着いてプレーしていますし、B1のレベルにも対応できています」と渡邉を評価する。

渡邉自身も先発起用されることで、チームからの期待を感じてプレーしている。「最初はスタートでも3分くらい出て、その後は出ないこともありましたが、最近はプレータイムをもらえているので、チームにプラスになる動きをしていかないといけない責任を感じています」

シーズン成績だけを見れば、A千葉は1632敗と苦しんでいるが、2点差で惜敗した2月の琉球ゴールデンキングス戦、6点差敗戦だった3月のアルバルク東京戦と、上位クラブとも戦える試合が増えてきた。何より、前節には千葉ジェッツ相手に劇的勝利を挙げている。

渡邉はシーズンを通じたチームの成長を感じている。「シーズン最初からやってきた自分たちのバスケットを変えずやろうと臨んでいます。ディフェンスからフローをしっかり作っていこうとやっていましたが、勝てない時期が続きました。その中でも全員が自分と仲間を信じて、やり続けた結果、ジェッツに勝つような良い試合が増えてきているので、そこは曲げずにもっとやっていきます」

前節の千葉J戦では、渡邊雄太とのマッチアップもあった。サイズが近い日本人トッププレーヤーとのマッチアップに何を感じたのか。渡邉は「雄太さんみたいなプレーや動きができたら最高です」と前置きし「ただ自分は自分ですし、自分はインサイドでしっかりプレーできるポテンシャルがあると思うので、雄太さんになるというよりもそのポテンシャルをより強化していきたいなと思っています」と自身の考える理想像をぶれさせない。

レギュラーシーズンは残り13試合。チャンピオンシップ進出の可能性はなくなっているが、渡邉は前向きな姿勢を崩さない。「一試合一試合成長する気持ちと、練習からもたくさん吸収できることはあるので、理想の自分になれるように一歩ずつやっていきたいです」

「チームとして重要なのは、最後までアルティーリのバスケをやり切ること。個人としてはオールラウンドにプレーして、どんな場面でもチームにプラスの影響を与えられるように毎試合頑張っていきます」

出場時間が増えたことで、責任も増しプレーの質も上がってきた。一つひとつの経験が高卒ルーキーにとって成長の糧となる。日本を代表する選手になるため、渡邉の挑戦は始まったばかりだ。