「チームの流れを変えるためにディフェンスをしっかりやる」
ウインターカップ女子決勝で桜花学園は大阪薫英女学院に61-65で競り負け、惜しくも頂点に届かなかった。しかし、4年ぶりの全国制覇となったインターハイ優勝に続く2冠まであと一歩と、ここ数年では一番の好成績だった。
このステップアップを支えた1人が3年生の山田桜来だ。本来なら3年生エースとしてチームを引っ張る予定だった金澤杏が4月に右膝の前十字靭帯断裂の大ケガで戦線離脱する中、山田は中心選手としてもともと定評のあったディフェンスに加えオフェンスでも奮闘する。特に得点源の1人であるイシボ ディバインがベスト8で負傷離脱すると、「ディバが出場できず、勝部(璃子)と竹内(みや)へのマークが少しずつ厳しくなっていました。そういう時こそ、自分の1対1からのアタックや3ポイントシュートがすごく効くと思っていたので、どんどん狙っていこうと考えていました」と語るように、ベスト4の八雲学園戦で10得点、決勝でも12得点を挙げた。
大会を通して安定したプレーを見せた山田だが、準優勝という結果に満足はできない。「試合の大事な場面で、自分が決めなければいけないシュートを決めきることができませんでした。3年生としてチームを勝利に導かなければいけない存在だったのに、それができずにすごく悔しい思いです」と決勝を振り返る。
決勝戦、桜花学園の選手たちは右腕に『日本一』と大きな文字を書いて試合に臨んでいた。さらに山田は左腕に『鬼のDF』と書いた。そこには「自分の武器はディフェンスで、チームの流れを変えるためにディフェンスをしっかりやらないといけないポジションです。最後の試合でも、この役割を徹底してやろうと思っていました」という強い覚悟があった。
そして、守備の要としての手応えと後悔をこのように続けた。「第3クォーター、第4クォーターの重要な局面で、自分のマークマンに3ポイントを決められてしまいました。あそこを一本止めていれば、自分たちの流れに持っていけたかもしれません。そこを最後に頑張りきれなかったのは悔しいです。ただ、ここまでの試合で自分の役割であるディフェンスをやり続けることができたのは良かったと思います」
「桜花に来たからこそ味わうことができた3年間でした」
山田は2024年に行われた『FIBA U17女子ワールドカップ』で史上初となる同一大会での2試合連続2桁アシストの快挙を達成するなど、6位に入ったチームの主力として活躍。しかし、昨年まで桜花学園では出番は皆無だった。それが最終学年の今年は誰もが認める柱となり、大会ベスト5にも選出された。
この飛躍も、山田は周りのサポートのおかげと強調する。「この3年間、苦しい時期も多かったですが、どんな時もみんなが支えてくれて、声をかけてくれました。精神面で助けられた場面が本当に多く、感謝の気持ちしかありません」
だからこそ、試合直後は気丈に振舞っていた山田だが、「ベンチに戻った時、試合に出られなかった他の3年生たちの姿を見て、勝ち切ることができずに本当に申し訳ないという気持ちが込み上げてきて、涙が止まりませんでした」と、溢れる感情を抑えることができなかった。
インターハイとの2冠は逃したが、ウインターカップで4年ぶりとなる4強進出、メインコートに戻ってきたことは大きな前進で、山田を中心とした3年生たちの功績は大きい。「1、2年生の頃は偉大な先輩たちがいましたが、それでもメインコートに立つことができませんでした。だからこそ、『自分たちの代では絶対にあの舞台に立とう』と、新チームが始まる前から3年生同士で話し合いながらやってきました」
こう語る山田は「すごく中身が濃くて、桜花に来たからこそ味わうことができた3年間でした。すごく良い経験ができて成長できました」と高校バスケットボール生活を総括。そして、特に自身が得たものを次のように語った。「コミュニケーションを取ること、努力を続けて自分を信じられる人になることの大切さです。あとはゲームを楽しむことの大事さを教えてもらいました」
高校生活で山田は試合に出られない辛さ、出番を勝ち取るうれしさ、頂点に立つ喜び、あと一歩で負ける悔しさなど、さまざまな経験を積んできた。このすべてを糧にし、彼女が次のステージでどんな成長を遂げてくれるのか楽しみだ。

