山内ジャヘル琉人

「誰かに頼らずに自分でクリエイトできたら」

1112日、川崎ブレイブサンダースはホームでのサンロッカーズ渋谷と対戦。前半こそ互角にわたり合ったが、後半に大きく失速し60-74で敗れた。

試合の立ち上がりから川崎は、トランジションが出るなどゴール下で効果的に得点を決めていき、前半を37-41で終える。しかし第3クォーターになると、オフェンスが完全に沈黙する。トランジションが出せなくなると、大黒柱ロスコ・アレンを欠くチームはハーフコートオフェンスで攻撃の起点を作れず、その結果、タフショットを打たされては外し、このクォーターの得点はわずか4得点。これで完全に試合の流れをSR渋谷に持っていかれた川崎は、そのままSR渋谷に余裕を持って逃げ切られた。

これで川崎は6連敗で214敗。さらにBリーグ唯一のホーム未勝利チームとなった。苦境にあえぐチームにおいて、新たな希望としてはつらつとしたプレーを見せているのがルーキーの山内ジャヘル琉人だ。この試合では持ち味であるゴール下の迫力満点のドライブを何度も繰り出し、キャリアハイの15得点に3リバウンド2アシスト2スティール1ブロックを記録。118日、9日のアルティーリ千葉戦でも7得点、9得点を挙げるなど、徐々に存在感を高めている。

「前半は入りが良く、オフェンスでミスなくプレーできたところも大きかったです。でも後半の入りで相手にセカンドチャンスを与え、自分たちがミスをした後に戻るのが遅れて簡単にシュートを決められてしまった。それが第3クォーターで4点しか取れなかったのが敗因になるかと思います」

このように試合を振り返る山内だが、積極的なドライブが光った自身のプレーについては「僕が得意なプレーなので、どんどんアグレッシブにやろうと思っています」と語る。

「もちろん、そのまま自分がフィニッシュするのが一番ですが、ペイントタッチすることでディフェンスを収縮させ、コーナーからのシュートに繋げることでもオフェンスの幅が広がります。いつもはロスコがやっていることですが、彼がいない中で、誰かに頼らずに自分でクリエイトできたらと考えています。そこは成長できるチャンスなので生かしていきたいです」

山内ジャヘル琉人

「アジャストする力は少しずつ成長できている」

川崎は現在エースのアレンがインジュアリーリスト入りしており、誰かがアレンの担っていた攻撃のクリエイト役を務めなければいけない。山内はルーキーではあるが、アレンの役割をこなす『誰か』を自らが担いたいと考えている。ベテランたちに頼りきりになるのではなく、若手の自分たちが中心となってこの苦境を切り開きたいと強い覚悟を示す。

「誰かに頼っている場合ではないです。みんなが積極的にやることがチームの力になります。特に僕たち若手は試合に出てチャンスをつかみたいハングリーさと、勝利に貢献したい気持ちを持っています。『先輩たちに頼りすぎない』という強い気持ちでチームを助けていきたい、と若手でも話しています」

そして、自分のアグレッシブなプレーで活力を与えたいと続ける。「チームとしてエネルギーが下がっている時は雰囲気も悪いです。そこで若い選手がリスクはありますが力強いプレーやアグレッシブなプレーをすることで雰囲気を変えられる。それができればチームに勢いがつきます」

今の川崎は、浮上のきっかけを見出すことが困難な状況にある。だが、山内は「ケガ人が出て、チーム的には下を向いてしまいがちです。そういう時こそ試されているとみんなが意識を持ってプレーをしていると思います」と決してネガティブになっていない。また、「試合の中で、プレーの質を少しずつ上げられている部分はあります。少しずつ相手の特徴を理解し、どういう時に僕の得意なところを出せば良いのかなど、アジャストする力は少しずつ成長できているかなと感じます」と手応えを得ている。

山内や岡田大河といった若手が積極的に仕掛けられている時は、川崎のペースで試合を展開できている時が多い。バイウィーク前最後のホームゲームとなる今週末の茨城ロボッツ戦でホーム初勝利を挙げるためにも、若手たちには自分たちが主役になる思いで強気のプレーを続けてもらいたい。