
サンズに戻ったブラッドリー・ビールにはブーイング
現地11月6日のサンズvsクリッパーズは、ブラッドリー・ビールが移籍後初めてフェニックスに戻る試合として注目を集めた。サンズで過ごした2シーズンはチームを勝たせることができず、今オフに2年1億1000万ドル(約170億円)の契約の一部をビールが放棄。残りをサンズが5年分割で支払うことで退団が決まり、その後にビールはクリッパーズに加わった。フェニックスのファンからすれば、活躍しなかったにもかかわらず今後5年の財政的な負担をチームに残したことで、ビールは批判の対象となっている。
予想通り、試合はブーイングで始まった。選手入場でビールが紹介されると、1万7000人の観客がブーイングを浴びせる。サンズ側もビールの活躍を思い出させるようなトリビュートビデオは用意せず、殺伐とした雰囲気のまま試合は始まった。
その試合が大歓声で終わったのは意外な結果と言っていいだろう。ただ、大歓声の対象はビールではなく、この試合がサンズでのデビュー戦となったジェイレン・グリーンだった。ケビン・デュラントとのトレードでロケッツから加入したグリーンは、右ハムストリングの痛みによりシーズン最初の8試合を欠場していた。
前半はほとんど点差が離れなかったが、クリッパーズがリードする時間が長いという展開。それでもサンズは第3クォーターに40-23のビッグクォーターを作り、第4クォーターは危なげない試合運びでクリッパーズを退けた。
グリーンは3ポイントシュート6本成功を含むフィールドゴール20本中10本成功の29得点を挙げた。ディフェンスの強度も高く、わずか23分の出場で得失点差+30という圧巻の数字を残している。
「ようやく試合に戻れると思うと興奮して、昨日はあまり眠れなかった。試合前には昼寝をするんだけど、昼寝をする気分じゃなかったよ。コートに立てて、プレーを楽しむことができて良かった」とグリーンは語る。
「正直、まだ試合に出ていいコンディションかどうかは自信がなかったけど、調子が良く見えたのならうれしい。僕の復帰を手助けしてくれたみんなにお礼を言いたい。ここには素晴らしいスタッフがいる。彼らのおかげだ」
指揮官ジョーダン・オットはグリーンのパフォーマンスについて「我々の期待していたことはすべて、それ以上だったと思う」と絶賛した。「実戦から長く離れていて、シーズン最初の試合であれだけのプレーをするのは簡単ではない。彼がこのチームでプレーしたのはトレーニングキャンプの序盤だけ。この試合を前に十分な練習も実はできていない。まだまだフィットを進めていく段階だが、本当に期待以上のプレーだった」
グリーンはプレータイムに制限があり、チームとのケミストリーもこれから築いていく段階だが、それでもこれだけの活躍ができるのは、今後に向けて大きな期待が持てる。デュラントとビール、デビン・ブッカーの『ビッグ3』が頓挫して出直しを図るサンズにとって、『期待』こそが今最も必要なもの。グリーンはそれをもたらす存在となった。