ニコラス・クラクストン

トーマス離脱の穴をチームで埋めペイサーズに逆転勝利

ペリカンズが初勝利を挙げ、NBAで唯一の未勝利チームとなっていたネッツだが、現地11月5日のペイサーズ戦に逆転勝利し、開幕からの連敗を7で止めた。

得点源のキャム・トーマスが開始わずか6分で左のハムストリングを痛めて交代を余儀なくされた。昨シーズンの大半を棒に振ったケガの再発は、チームに暗い影を落としたが、それでもマイケル・ポーターJr.が32得点でオフェンスを引っ張った。さらにトーマスに代わって入ったタイリース・マーティンも16得点とエースの穴を埋める働きを見せた。

ディフェンスでは、ポーターJr.が欠場していた試合で良いパフォーマンスを見せたノア・クラウニーがそのまま先発パワーフォワードとなり、ポーターJr.はスモールフォワードにポジションアップ。センターのニック・クラクストンを含めた3人はサイズがあり動ける選手で、ペイサーズの速い攻めにスイッチして対応した。

前半は大きな点差にはならなくても劣勢が続いたが、チームは集中力を切らすことなく攻守で奮闘。ケガ人続出で1試合を通して強度を保てないペイサーズに対し、第4クォーターを32-20と圧倒して112-103の勝利を収めた。

クラクストンは18得点10リバウンド6アシスト3スティール2ブロックと攻守に大活躍した。トーマス不在の状況でプレーメークも担った彼は「僕はこどもの頃はポイントガードだったから、オンボールでプレーの判断をすることに不慣れってわけじゃないんだ。実際、今シーズンはコーチ陣からもポイントセンターとしての役割を期待されている」と語る。「チームメートに良いチャンスを作り出すために何ができるか、これは昨シーズンも試していたことで、その経験が僕を少しずつ成長させていると思う」

そしてクラクストンは、フロントコートで組んだ3年目のクラウニーの働きを「僕が(パスカル)シアカムをペリメーターで守っている時、ノアがリムを守り、リバウンドを取ってくれた」と称賛。さらにベンチから出てトーマスの穴を埋めたマーティンをこう称えている。「タイリースは10日間契約、2ウェイ契約から這い上がってきた。このオフも毎日のワークアウトに素晴らしい姿勢で臨み、練習のたびに自分のベストを見せてきた。決して簡単なことじゃないのに、彼はやり遂げたんだ。今日だけじゃなくシーズンを通して彼は大事な戦力になるよ」

指揮官ジョルディ・フェルナンデスは、クラクストンも同じような努力の成果で活躍できていると語る。接戦となったこの試合でペイサーズとの違いを生み出したのは、ネッツの35本に対しペイサーズには13本しか与えられなかったフリースローだ。ネッツがリムを攻める姿勢を強く打ち出した結果だが、決めなければ意味がない。クラクストンは昨シーズンまでのキャリア通算の成功率が53.7%とフリースローが大の苦手。それでもこの試合では10本中8本を決めた。

指揮官ジョルディは「オフの間、シューティングコーチとずっと一緒だった。オフはずっとフリースロー80%を目標に練習してきた。今日80%決めたのは偶然じゃない」と言い、こう続ける。

「フリースローだけじゃない。今日は6アシストを記録したが、ターンオーバーはゼロだ。積極的に攻めている時の彼はリム周りで脅威になるし、そこでシンプルなプレーを選択できればプレーメーカーとしてもっと結果を出せる。ここまでキャリアハイのアシスト(3.8)を記録しているが、彼の可能性はこんなものじゃない。彼がどこまでやれるか見続けたいし、今日のように『こんなプレーをやりたい』と提案する姿勢をどんどん出してもらいたい」

1勝は挙げたが相手はケガ人続出で、ネッツが勝てるチームになるまでの道のりはまだまだ長い。それでも勝利は若い選手たちに自信をもたらす。ジョルディはこう語った。「今日プレーした10人全員が正しいプレーを遂行した。勝つためにプレーし、選手それぞれが繋がってチームとして戦った。これが私の願うチームの姿だ。勝ったことでロッカールームの雰囲気はすごく良くなっている。しかし、我々は1勝で止まることなく、次のピストンズ戦でも同じようなプレーを見せなければならない。今日は勝利を楽しみ、明日からまた集中するんだ」