「自分たちのペースでやる必要があった」
「リードを守りきれなかったのは、ガードとして本当に責任がある」。敵地で群馬クレインサンダーズ戦に臨んだ横浜ビー・コルセアーズの安藤誓哉は、82-89で敗れた第2戦を終えて責任を感じていた。
前日の第1戦は一度もリードをすることなく、そのまま80-87で敗戦。この試合は序盤からボールムーブもよく、要所で群馬のミスを誘いリードを築いた。
「今日はペースを上げて流れを軽くしようと思っていました。昨日はインサイドにボール入れすぎて、重くなってしまったので」。第1戦との違いを安藤はこのように振り返ったが、徹底できなかったと続けた。「前半はうまくいきましたが、後半はインサイドでまた重くなってしまうこともありました」
何度も群馬に追い上げられたが、同点にされることなくリードを守り続けた。第4クォーター残り4分39秒。安藤はトップの位置から得意のプルアップ3ポイントシュートを沈めて10点にリードを広げ、オフィシャルタイムアウトのブザーを聞いた。勝利に大きく近づく1本だった。
残り3分を切ってもリードは3ポゼッション差に保たれていた。しかし、ここから流れが大きく変わる。群馬に反撃を食らい、みるみるうちにリードが溶けた。「『時間を使おう』と気にしすぎたかもしれません。シュートを打てるところで打たなかったのがよくなかった。タイムマネジメントは大事ですが、自分たちのペースでやる必要もありました」
結果的に、残り0.4秒で細川一輝にオフェンスリバウンドから得点を許し、同点に追いつかれた。細川のマークマンは安藤だった。「自分が細川選手にリバウンドを取られてしまったので、なんとか巻き返そうと。もちろんオーバータイムに入った時は勝つ気でした」と勝利を誓っていた。
しかし、第4クォーター残り1分26秒にファウルアウトしていたダミアン・イングリスに続き、ゲイリー・クラークもオーバータイム開始2分でファウルアウトし、流れを再び持ち込むことは叶わなかった。「気持ちを切らしてしまった感はありましたね。どう攻めるか共通理解がありませんでした」
「今日の試合を学びにしていきたい」
安藤はこの試合で、チーム最長の34分50秒コートに立ち、16得点1リバウンド4アシスト1スティールを記録。個人のパフォーマンスだけを見れば、わずか3得点に終わった前日からカムバックを果たした。「昨日はアウトサイドでのプレーが多くなってしまったなと。今日は1回インサイドにタッチすることを意識して臨めました。結構ファウルももらえましたし」と、前日との意識の違いをプレーで体現できたことを明かす。
安藤は状況を打開できる強力な個の力を持つプレーヤーだが、それゆえに今シーズン移籍した横浜BCでのフィットには伸び代を残している。横浜BCのラッシ・トゥオビヘッドコーチは「慣れないといけないこともありますし、今は成長している段階です。今日のパフォーマンスは良かったですが、まだ時間がかかるかもしれません」と安藤について評した。
それを安藤に伝えると「そこ(アジャスト)は必死にやっていますが、タイミングは早いほうが良いですよね。オフェンスの強調点をある程度は絞っていくことも必要かと思います。バイウィーク後だと遅いかもしれないので」と今後に向けて課題も感じている。
横浜BCには、インサイドを起点にオールラウンドに活躍できるイングリスがいる。しかし現状はボールシェア、要所での攻めどころで安藤とイングリスのどちらを選択するのかなどといった点で、良いバランスが取れていない。安藤は言う。
「このチームがインサイドでどのくらい支配できるか、まだ分かっていない部分もあります。チームとしてどれくらいインサイドプレーを求めるのか、インサイドにボールを預ければどのくらい期待値があるのか、理解が進んでいけばもう少しうまくできてくるかなと思います」
横浜BCは、今節を終えて4勝8敗の東地区9位。開幕節こそ琉球ゴールデンキングスに連勝したが、その後は苦しいシーズン序盤戦となった。この試合でもあと一歩のところで勝利をつかみ損なった。しかし安藤はここまでの経験を糧にして、前を向く。
「自分たちのペースをしっかり持ってやらないと。どうしても相手に合わせてしまうと良くないので。自分たちのペースを得て、クロージングもしっかり話し合って、今日の試合を学びにしていきたいです」
                                            
