パオロ・バンケロ

「賢くプレーしなければならない」

マジックはパオロ・バンケロとフランツ・バグナーの両エースを軸に再建を終わらせた。ここ2シーズンで47勝、41勝を挙げ、プレーオフで勝てるチームを目指してデズモンド・ベインを補強。堅実なディフェンスというベースは変わらず得点力がアップし、飛躍のシーズンを迎えるはずだった。

しかし、開幕戦でヒートに勝利した後は3連敗。対戦相手のホークス、ブルズ、セブンティシクサーズはいずれもプレーオフ進出を逃したチームで、3連勝を期待したくなるカードだったが、真逆の結果となっている。

さらに、内容は結果以上に悪いと言わざるを得ない。指揮官のジャマール・モズリーはハードワークを重んじ、相手が嫌がることなら何でもする執拗なプレーを48分間徹底するチームを作り上げた。ところがこの3試合はオフェンスでもディフェンスでもエネルギー不足で、集中力を欠き、それでいて勝てないためにあせってミスを連発。スコアを見るとホークスとブルズにはオフェンスが機能せず、シクサーズ戦では守備が崩壊して敗れたように見えるが、実際は3試合いずれも攻守ともに『マジックらしさ』がまったく出せていない。

現地10月27日のシクサーズ戦では、最大15点のビハインドから第4クォーターに巻き返して残り6分に2点差まで詰め寄ったものの、タイムアウトで流れを断ち切られて124-136で敗れた。モズリーは「相手を称賛すべきだが、我々ももっと良いプレーをする必要がある」と語る。

2点差となった場面でモズリーは「規律を欠いた」と課題を挙げた。「頑張って守った後に『一発逆転のホームラン』を狙いにいったが、そういう時こそゲームプランを確実に遂行すべきだ。我々は堅実に守り、そこからの速攻で点差を詰めてきた。その努力を維持しつづけるべきだった」

これまでチームを浮上させてきたスタイルを変えるつもりはないが、今シーズンに新たな要素として加わっているのはペースを上げることだ。これまでのマジックはディフェンスでハードワークし、トランジションに持ち込めれば理想だが、無理してペースを上げようとはしてこなかった。それを今シーズンはペースを上げることを一つのテーマに加え、それがここまで機能していない。

エースのパオロ・バンケロは「ペースを上げればポゼッションが増えて、失点は増える。それ自体は悪いことではないが、ただペースを上げるだけでなく賢くプレーしなければならない」と語る。

「今は方向性がないままスピードを上げているような感じで、チームとしてどんなプレーをするのかを定めなければいけない。時間が解決してくれるかもしれないけど、その時が来るのをただ座って待つつもりはない。試合を重ねるごとに良くなるからと負け続けるわけにはいかない。僕たちはもっと良いプレーをしなければならないし、今すぐやらなきゃいけない」

「シーズンは始まったばかりだけど、それは言い訳にならない。今日みたいな負けに慣れてはいけないし、本当の意味で危機感を持たなきゃいけない。ディフェンスもオフェンスも良い出来とは言えないんだから、全体的にもっとギアを上げていく必要がある」