
ダンク・ショーでチームに批判的なファンを熱狂させる
マーベリックスはシーズン開幕から6試合連続ホームゲームという、極めて有利なスケジュールに恵まれた。しかし、『彼』はそれを見た時、背筋が冷える思いだったはずだ。ニコ・ハリソン──8カ月前にルカ・ドンチッチ放出を決めたゼネラルマネージャーは、いまだダラスのバスケファンの憎悪の対象であり続けている。
彼はドンチッチ放出を「優勝を勝ち取るのはサイズとディフェンスだ」と説明した。しかし、開幕から2試合連続でマブスのディフェンスは迫力を欠いた。ビクター・ウェンバニャマの異次元のパフォーマンスに屈した開幕戦はともかく、昨シーズンに18勝しか挙げていないウィザーズに敗れた第2戦では、大ブーイングと『FIRE NICO』(ニコを解雇しろ)のコールが沸き起こった。
現地26日の相手は、ウィザーズと同じく迷走が続くラプターズだが、前半は接戦が続いた。前の2試合では後半にスタミナ切れを起こしてズルズルと失速しただけに、この日もファンはブーイングを浴びせ、アリーナの雰囲気は殺伐としていた。
そんなマブスに新たな活力を注入したのは、ドラフト全体1位指名を受けたクーパー・フラッグだ。第3クォーターに入ってデレック・ライブリー二世とアンソニー・デイビスのアリウープを立て続けにアシスト。マブスのダンク・ショーは、フラッグのアシストで始まり、彼自身のフィニッシュへと続いた。第3クォーター残り4分からわずかな間に、ナジ・マーシャルとディアンジェロ・ラッセルのアシストを受けて豪快なダンクを連続で叩き込む。
COOPER WESTLEY FLAGG pic.twitter.com/piwnfzMyKc
— Dallas Mavericks (@dallasmavs) October 27, 2025
2発目のサンドロ・マムケラシュビリの上から叩き込んだポスタライズダンクは観客を熱狂させた。ディアンジェロは「みんな彼の活躍を見に来ている。だから彼へのアシストを選択した」と語る。マーシャルも自分でシュートを打てたにもかかわらず、フラッグが飛び込んで来るのを見て迷わずパスを選択した。彼のダンクがチームに勢いを付け、会場を盛り上げることをベテランたちは理解している。
フラッグを中心としたオフェンス爆発で39-25のビッグクォーターを作り上げた時には、アリーナはブーイングではなく歓声に包まれていた。ここで築いた12点のリードを危なげなく守り、マブスは139-129でシーズン初勝利を挙げた。
フラッグは29分の出場で22得点4リバウンド4アシストを記録したが、試合に与えたインパクトはスタッツでは計り知れないレベルだった。
試合後のフラッグはこう語る。「アグレッシブな姿勢は、無理にやるものじゃなくて自然に出てくるものだ。自分が得点するかどうかは関係なく、正しいプレーをして状況を把握し、その上でアグレッシブに攻める。そういう気持ちでプレーした」
そして「ホームで初勝利を挙げられて良かった。僕たちにとっては非常に大きなことだ。今日を出発点として、さらに積み上げて成長し続けたい」と続けた。
フラッグは大物ルーキーではあるが、まだNBAを3試合しか経験していない18歳の少年であり、1万9000人のブーイングを浴びて平静ではいられないだろう。だが、彼は弱音を吐くのではなく、自らのプレーで会場の雰囲気を変えてみせた。
「ファンは3試合ずっとここに来てくれているけど、今日は僕らが彼らを興奮させ、思わず立ち上がるような何かを提供できた初めての日になったと思う。そうすることができて良かった。これは僕らの大きな一歩になる」
 
                                             
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                         
                 
                 
                 
                