岸本隆一

岸本隆一が22得点の活躍、インサイド陣も奮闘

10月22日、『東アジアスーパーリーグ(EASL)』第2戦が行われた。琉球ゴールデンキングスは沖縄サントリーアリーナ(沖縄県沖縄市)でフィリピンのメラルコ・ボルツと対戦し、81-72で今大会初勝利を挙げた。主力のヴィック・ローとケヴェ・アルマ、脇真大を欠き全員が揃わない中でのタフな一戦となったが、岸本隆一が22得点8アシスト4スティールと攻守で存在感を発揮。チームとしても48リバウンドを奪い、持ち味であるフィジカルな守備と粘り強さで勝利し、『EASLホーム無敗』の記録を保った。

メラルコはEASL3年連続出場の常連クラブで、ヨルダン代表のロンデイ・ホリス=ジェファーソンを中心に攻撃を展開。NBAでのプレー経験もある実力者の得点力に苦しめられたが、琉球は最後までリバウンドで優位を保ち、チーム全体で粘り強く戦い抜いた。

琉球は今シーズン初めて、岸本隆一、松脇圭志、小野寺祥太、ジャック・クーリー、アレックス・カークの5人をスタートに起用。ゴール下でセカンドチャンスを確保しながら、ディフェンスで圧をかける展開を作った。序盤は岸本がペースを落ち着かせ、クーリーやカークのミドルレンジで着実に加点。メラルコはエース、ホリス=ジェファーソンがボールを保持してリズムを作る時間帯が長かったが、松脇と途中出場の佐土原遼が粘り強くこれを守り、ビハインドの展開からクーリー、カーク、佐土原の連続得点で流れをつかむと、終盤に岸本が3ポイントシュートを連続で沈め、37-36と1点リードで前半を折り返す。桶谷大ヘッドコーチはハーフタイムに「苦しい展開でも我慢できている。このリズムを後半につなげたい」と語り、チーム全体が粘りを意識して後半に臨んだ。

後半は開始直後にホリス=ジェファーソンの得点で逆転を許したが、岸本のスティールから佐土原の速攻で再びリードを奪う。崎濱秀斗の3ポイントシュートやレイアップなどベンチ陣の活躍も光り、一時は7点差までリードを広げた。しかし、第3クォーター終了間際にメラルコのCJ・カンシーノにロング3ポイントシュートを許し、リズムを完全には奪い切れないまま59-56のスコアで勝負の10分間に突入した。

迎えた最終クォーターは、岸本が64-64の同点から連続でスティールを奪い、自らの3ポイントシュートとフリースローでリードを拡大。残り5分にはアンスポーツマンライクファウルを誘って71-66と突き放す。しかしメラルコも粘りを見せ、終盤には74-72と2点差に迫られる。嫌な流れを断ち切ったのは、ここまで決まっていなかった佐土原のコーナーからの3ポイントシュート。岸本のアシストを受けて放った一撃が、勝負の分岐点となった。最後は岸本がフリースローを沈め、81−72でホームの歓喜をつかんだ。

「キングスらしいバスケットボールを展開できた」

この試合を分けたのは、リバウンドでの圧倒と守備の集中力だ。琉球はカークが17得点17リバウンド、クーリーが12得点19リバウンドとそろってダブル・ダブル。セカンドチャンスを何度も作り出し、リバウンド数で相手に10本の差をつけた。フィールドゴール成功率は38.6%と決して高くはなかったが攻撃回数で上回り、それぞれが役割を果たしながら我慢の時間帯を粘り強く戦い抜いたことが勝利を呼び込んだ。さらに、岸本は要所で流れを引き寄せる得点やアシストでチームを鼓舞。勝負どころでのプレーメークも光った。

桶谷大ヘッドコーチは試合後、「チームとして厳しい状況でこの試合を迎えましたが、一つひとつのポゼッションを大切にし、苦境の時こそ力を発揮するキングスらしいバスケットボールを展開できたと感じています」と振り返り、「一人ひとりが自分の役割を遂行し、全員がステップアップできた試合となりました。選手、スタッフ全員が『絶対に勝ちたい』という気持ちを一つにしてつかんだ勝利であり、最高のゲームだったと思います」と語った。

琉球は12月17日、同じく沖縄サントリーアリーナでマカオ・ブラックベアーズと対戦する。再び『キングスらしいバスケットボール』で連勝を飾れるかに注目したい。