
「来年の春に優勝を逃していたら最悪の気分になる」
サンダーは圧倒的なパフォーマンスで2024-25シーズンのNBAを制した。各ポジションに若く才能ある選手が揃い、そのチームをエースとして引っ張ったシェイ・ギルジャス・アレクサンダーは、27歳にしてシーズンMVPとファイナルに輝いた。彼を支えるのは24歳のジェイレン・ウィリアムズと23歳のチェット・ホルムグレンで、優勝を経験して若いチームの成長速度がさらに増すのは間違いない。
つまり新シーズンもサンダーは絶対的な優勝候補なのだが、シェイは優勝を経験する前と変わらず謙虚で物静かな男のままだ。
「良いオフを過ごすことができた。例年より少し短いオフだけど、その方が望ましいのは間違いない」と、シェイは言葉を選びながら話す。「休暇を家族や友人と過ごし、NBAのシーズンで溜まる緊張を解きほぐして、また練習に戻った。その時間の管理には少しだけ気を使ったと思う」
変わったのはそれだけ。多くを勝ち取った1年を経ても、バスケへの取り組み方が変わらないのは、「地道な努力が僕という選手を作った」との思いが強いからだ。
「僕は飛び抜けた才能を持っていたわけじゃなく、自分自身を鍛え、削り出し、形作るための努力をしなければいけなかった。僕はそのことを忘れない。何があろうとも自分のプレーに向き合い、より良いものにしようと努力する。それは人生のすべてに当てはまる。何かを良くしたいなら努力しなくちゃならない」
変化があるとすればチームを取り巻く環境だろう。この数年、NBAでは毎年優勝チームが入れ替わり、新たな王者が誕生するたびに「王朝を築く」と囁かれたが、ナゲッツもセルティックスも連覇は果たせていない。サンダーも今こそ死角がないように見えるが、チームもサンダーを倒すことに注力する『サンダー包囲網』が敷かれるだろう。
「それでいいんだ。僕たちは子供の頃から夢見ていたことを達成した。優勝した気分に浸り、十分に楽しんだ。少なくとも僕はそうしたよ。そして次に何が起こるかと考えた場合、来年の春に優勝を逃していたら最悪の気分になるだろう。そうならないことが次の目標だ」
2017年と2018年のウォリアーズ以来、NBAを連覇したチームはない。その難業にサンダーは挑むことになるが、シェイはその方法論について何の疑いも持っていない。「そこに到達する方法は分かっている。コントロールできることに集中して、日々の成長に努める。そうやって毎日を過ごしていれば、どこかの時点で振り返った時に、昨シーズンに達成していたのと同じものと達成できていると思う」