アイバーソンモデルのシューズを投げ捨てられ……
2002年に公開された映画『LIKE MIKE』(邦題:ロスト・キッズ)という映画をご存知だろうか? 主人公の少年が、ひょんなことから手に入れたバスケットボールシューズにより常人離れしたプレーを見せるようになるというファンタジーコメディ作品だ。この作品に主演として出演した人気ラッパーのバウ・ワウが、『神様』ことマイケル・ジョーダンの自宅に招かれたエピソードをテレビ番組『Desus & Mero』で明かした。
この作品で重要な役割を果たすバスケットボールシューズのベロ裏には、『MJ』というイニシャルが書かれている。英題を見ても分かる通り、ジョーダンのことを指すのだが、作品中のワウはジョーダンの23番ではなく、セブンティシクサーズ時代のアレン・アイバーソンのジャージーを着用している。
ワウはこの設定について、アイバーソンのファンだったことが理由と公言しているのだが、これが結果的にジョーダンの怒りを買うことになろうとは想像もしていなかっただろう。
子役から成長し、ラッパーとしての地位を築いたワウは、ジョーダン一家と親交があり、ツアーでシカゴを訪れる際にはジョーダンの自宅に泊めてもらうこともあるという。ある日、ジョーダンの息子マーカスの部屋に泊まった際、ワウはデューク大のショーツにアイバーソンモデルのシューズというコーディネートだった。
ジョーダン宅に泊まった翌朝、ワウの目の前には、家主のジョーダンが立っていた。
番組内でワウはこう語った。「マーカスの部屋で寝ていたら、『お前たち、起きろ』という声が聞こえて、眼覚めたらジョーダンさんが立っていたんだ。そして、俺の靴を持って『これは誰の靴だ? そして、誰の家にデューク大のショーツを持ち込んだと思っているんだ!?』と怒られてね」
恐れを知らないワウが「俺はデューク大のファンだから」と答えると、息子のマーカスは青ざめたという。バスケットボールファンには有名な話だが、ジョーダンの母校ノースカロライナ大とデューク大は全米でも有名なライバル校同士。そのノースカロライナ大の永久欠番選手であるジョーダンの前で、ライバル校のショーツを着用するなど言語道断だ。
さらにアイバーソンモデルについてもワウは「そのシューズも俺のです」と答えた。ジョーダンは「そうか、分かった」と言った瞬間にシューズを投げ捨て、息子マーカスに「彼に『Jumpman』(Nikeのジョーダンモデル)をやれ。今すぐだ」と言ったという。
世界中にいくらでもいるジョーダンの崇拝者からすれば、神をも恐れぬ振る舞いにマーカスと同様に青ざめるのか、それともジョーダンからシューズをもらって喜ぶのだろうか。いずれにしても、バウ・ワウが貴重な経験をしたことは間違いない。