
大学バスケットボールの上半期の大会は、残すところ『World University Basketball Series 2025』のみとなったが、今年度、好調なのが明治大だ。5月の関東大学選手権では10年ぶりに準決勝に進出し、最終的には3位に。また、初出場となった全日本大学新人戦(新人インカレ)も3位に入った。
昨年は秋の関東大学リーグ戦で1部10位に終わり、入れ替え戦も経験するなどどん底だった明治大。当時の反省を生かし、今年は『Strength in Numbers(全員で戦うことの強さ)』をスローガンに掲げ、勝てるチームへと変ぼうした。
チーム一体でつかんだ新人インカレ3位
7月13日、代々木第二体育館で行われた新人インカレの3位決定戦。前日の白鷗大戦に負けた悔しさを晴らすかのように、明治大の選手たちは攻守に躍動した。京都産業大に一時20点差をつける安定した戦いで勝利。コート上の齋藤翔太、湧川裕斗ら5人はお互いをねぎらい、ベンチの選手・スタッフは満面の笑みを浮かべた。
応援席の3・4年生たちも、自分のことのように勝利を喜んだ。大会前、上級生でチームを作り、下級生チームと何度も試合をして胸を貸した。関東大学新人戦、新人インカレの計10試合では声を枯らして応援した。
湧川は「先輩たちの声援はよく聞こえました。試合の流れの悪いときは、特に心強かったです」と感謝の言葉を口にした。田中智也コーチも「上級生たちは応援しながら試合を俯瞰し、気づいたことを的確に教えてくれた。助かりました」と語った。コートでひたむきにプレーする下級生と、それを支える上級生。まさにチーム一体でつかんだ新人インカレ3位だった。

強いチームに変わるには何が必要か
昨シーズン、明治大はすべての大会で振るわなかった。関東大学選手権はベスト16にとどまり、新人戦は初戦敗退。入れ替え戦は辛うじて勝ち越し2部転落は回避したものの、続くインカレは初戦敗退に終わった。
実績や能力のある選手が多く在籍するのに、なぜ勝てないのか──。理由としてチームの結束力の弱さが指摘された。相手チームに対し、5人でボールを回すのではなく『個』で挑んでしまう。流れの悪い時間帯にみなが消沈し、守備を頑張れずに一気に離されてしまう。チームの練習でも集中力を欠くことが時々あったという。
今年2月の新チーム結成にあたって、主将の千葉天斗ら新4年生は、選手とスタッフ全員の力を結集させたいと考えていた。まず、下級生も自由に意見を言えるように雰囲気を変え、ミーティングを何度も開催。強いチームに変わるには何が必要かを全員で話し合った。
他のメンバーも団結力が大切と感じていたため、今年のチームスローガンを『Strength in Numbers』に決定した。直訳すると『数による強さ』。チーム全員で戦うことの強さや重要性を表した言葉で、かつてNBAのウォリアーズがこれを掲げて優勝した。千葉は「選手・スタッフ全員が一生懸命練習に取り組む。試合では勝利に向けてお互いが支え合う。そういう方向を目指した」と振り返る。
技術面では、ディフェンスの強化を第一に掲げた。明治大は留学生がいない。身長2メートル超えの留学生を擁する大学にスムーズなセットオフェンスを展開されたら勝ち目はない。全員で守備力の向上を図り、試合での約束事も増やした。
副主将の武藤俊太朗は、「フィジカルトレーニングは苦しくて地味ですが、去年の悔しさもあって全員が前向きに取り組んでいます。毎日、強度の高い練習ができていて、全員がレベルアップしている」と胸を張った。