シュートは不発でも、要求通りのプレーで勝利に貢献
NBAのサマーリーグは、ラスベガスでの『本番』を前に、それぞれ4チームが参加するチェイス・センターでの『カリフォルニア・クラシック』とユタ大での『ソルトレイクシティ・サマーリーグ』が行われる。
現地7月5日、『ソルトレイクシティ・サマーリーグ』ではジャズvsセブンティシクサーズが行われた。地元ファンのお目当ては1巡目5位指名でジャズに加入したエース・ベイリーだ。彼はNBAドラフト前に各チームからのワークアウトの招待を断っており、その中には3位指名権を持つシクサーズもあった。シクサーズはこれでベイリーを回避し、VJ・エッジコムを指名した。
この試合で主役を演じたのはエッジコムだった。素早く放つプルアップジャンパーを決めてリズムをつかむと、ユーロステップで相手をかわしての派手なダンクも披露。後半はタフショットでも強引に打ち切って決めるなど、30分の出場で28得点10リバウンド4アシストの活躍を見せた。
一方のベイリーは25分の出場で8得点7リバウンドを記録。フィールドゴール13本中3本成功とシュートタッチに苦しんだ。しかし、コートに入って来る時から試合終了まで彼はずっと笑顔で、ジャズの一員としてプレーする喜びが全身から溢れ出していた。
「最高だったよ。ゲームを心から楽しむことができた。勝てたのが一番だ」とベイリーは言う。注目のルーキー2人のハイライトシーンだけを比べればエッジコムが上だが、ベイリーはチームの勝利に貢献できたことに満足していた。
そして、地元ファンの温かい歓迎ぶりにも喜んだ。「ファンの盛り上がりを見て緊張してしまった」と彼は笑う。「でも楽しかった。初めて来たアリーナだけど、人々からの愛情を感じてプレーできるのは幸せだと思えた」
この大会でチームの指揮を執るアシスタントコーチのスコット・モリソンは、ベイリーの出来を高く評価する。そこにシュートタッチの良し悪しは関係ない。「我々はベイリーがハードワークしているか、ボールにプレッシャーを掛けられるか、コーナーでスペースを作れるかに注目している。得点とは関係ないこれらの部分でチームに貢献できるようになった時点で、シュートについて考える」とモリソンは言う。
彼がドラフト前のワークアウトを拒否した理由はいまだ分からない。しかし、指名されて「一度も行ったことがない」というソルトレイクシティに来てからの数日間で、ベイリーは高い評価を受けている。サマーリーグに向けた練習に真っ先に姿を見せるのはベイリーで、チーム練習の後にもコーチをつかまえてワークアウトを行う。
「4日間の練習で戦術すべてを教えることはできない。我々がやったのは、ボールプレッシャーの基準、目指すべきペースを設定することだ」とモリソンは言う。ジャズの選手として最初の試合で、ベイリーはコーチの要望に完璧な形で回答を出した。