デイミアン・リラード

リラードの代理人、解雇された現状を「チャンス」

デイミアン・リラードはバックス2年目の昨シーズンに右ふくらはぎの深部静脈血栓症と診断され、レギュラーシーズン終盤を治療のために欠場した。驚異的な回復によりプレーオフで復帰を果たしたが、1カ月以上のブランクを経てプレーオフの強度を戦うのには無理があったのかもしれない。現地4月27日、彼はリバウンドに反応しようとした際に崩れ落ちた。左足のアキレス腱断裂で、彼のシーズンは終わった。復帰には約1年を擁するケガで、2025-26シーズンもプレーできない可能性が高い。

リラードを失ったバックスは、その後にNBAファイナルまで駆け上がるペイサーズの勢いに太刀打ちできずに敗退。そして現地7月1日、フリーエージェントのマイルズ・ターナーを獲得するために、デイミアン・リラードを解雇するという驚きの決断を下す。バックスはリラードとの残り2年1億1300万ドル(約170億円)を、2030年までの5年分割で支払うことになる。

バックスのために文字通り粉骨砕身の姿勢を見せたリラードにとって、ケガが理由とはいえ解雇は悔しい出来事だろうが、その感情を別にして考えれば彼にとって有利な状況が生まれたと言える。

ケガをした後、リラードは家族の暮らすポートランドでリハビリすることを希望しており、彼を自分たちの管理下に置いておきたいバックス首脳陣はそれに難色を示していたという。しかし、この問題はもう解消した。フリーエージェントになったリラードは自分の望むやり方でケガからの回復に専念できる。支払いは分割になったにせよ、彼が得られる報酬の金額が下がったわけではない。そして彼はフリーエージェントとして、回復後にプレーするチームを自分の意志で決めることができる。

リラードのエージェントを務めるゴードン・グッドウィンは、ポートランドの地元紙『Oregonian』の取材に対して「デイミアンにとって素晴らしいチャンスとなる。焦らず次の行き先を決めることができる」と、この状況を前向きに受け止めている。

リラードが次の所属チームを急いで決める必要はない。ただ、今すぐ契約を決めることがあるとしたら、それはブレイザーズだろう。リハビリ期間中は家族のいるポートランドに戻る。ブレイザーズの練習設備と信頼できるメディカルスタッフがあれば、リハビリはより効果的に進むはずだ。

かつてリラードは再建へと舵を切ったブレイザーズにトレードを要求してチームを離れた。だが、ファンも球団もそれを裏切りだとは考えていない。チームがサイクルを終えた後、他に選択肢がなかっただけだ。

ブレイザーズの再建はまだ続いており、今オフにドリュー・ホリデーを獲得したのは若い選手に模範を示すため。それであれば、今はまだ空いているロスター枠の1つをリラードに使い、間もなく35歳になる彼が復帰に向けてどれだけ努力しているかを若い選手たちに見せることは、大きな効果を生むはずだ。

リラードにとっても、どこにも所属せず一人だけでリハビリをするよりモチベーションは高まるはず。ベテラン最低保証額での1年契約でブレイザーズに復帰することは、彼にとってもチームにとってもメリットがある。