ドレイモンド・グリーン

言葉とプレーでチームを牽引したグリーン

敵地でのプレーオフ戦で、前半を終えて13点差(53-66)から逆転するのは、王者にとっても簡単なことではない。だが、それを可能にしたのは、ドレイモンド・グリーンのハードワークだった。

グリーンは、第3クォーターにオフェンスのペースアップを心がけ、リバウンド、アシストを続けて記録。2年目のジョーダン・ベルがドライブからのワンハンドダンクに失敗しても、自信を持たせるためポジティブな言葉をかけた。

グリーンの献身的なプレーで息を吹き返したウォリアーズは、第3クォーター残り7分50秒の時点では61-73だったものの、それから約6分後には77-76と逆転。後半を57-33で圧倒して110-99で勝利し、5年連続のNBAファイナル進出に王手をかけた。

指揮官のスティーブ・カーは、第3戦のグリーンを「まるで鉄球のように、目の前のあらゆる物を破壊していた」と称賛。コンディションを上げるため、レギュラーシーズン終盤の短期間で身体を絞ったグリーンは、プレーオフで好調を維持している。この日も20得点13リバウンド12アシスト4スティールで勝利に貢献し、ポストシーズンで3回目のトリプル・ダブルをマークした。

グリーンは、「ケビン(デュラント)がいないのだから、自分がもっとアグレッシブにならないといけない。点を決めて、相手のディフェンスにもっとプレッシャーをかけないといけない」と、デュラントが離脱してからの意識の変化について語った。

「チームメートにもっと多くのシュートを打ってもらうことは簡単だけれど、彼らだけにプレッシャーをかけたくはない。だから自分はペースを上げて、チームが好むテンポでプレーできるように努力しているんだ。その上で、自分でもプレーを決められるようにしている」

ダンクをミスした後でベルにかけた言葉について聞かれると、「彼は素晴らしいプレーをしてきた。ただダンクを決められなかっただけ。だから『クレイ(トンプソン)だってシュートを外すし、ステフ(カリー)だって、俺だって外すんだぞ。お前だってダンクをミスしただけじゃないか』というようなことを言った」と、答えた。またグリーンは、シリーズが始まる前に、映像分析担当のスタッフとのやり取りがプラスにはたらいたことも明かしている。

「実は、このシリーズが始まる前に、チームの映像分析担当から、こんなことを言われたんだ。『君のおかげで自分は成長できた。ただ、次のシリーズではベンチが重要になる。だから、ベンチが自信を持ってプレーできるようにしてもらいたい』とね。(ベルが)ダンクを外した瞬間は、『今のが決まっていたら6点差に縮められたのに』と一瞬考えてしまった。でも、その時に彼の言葉を思い出したんだ。だからジョーダンを勇気づけた。そうしたら、彼はダンクを決めるし、ブロックで相手の攻撃を止めた。重要な場面だったと思うよ。これまでも、いつだって『Strength in Numbers(ウォリアーズのキャッチコピー、全員で戦うことの強さという意)』ということを言い続けてきた。映像分析担当が絡むことは少ないけれど、今日の試合では、彼がもたらしたものが大きかった」

まさに全員で勝利を掴んだウォリアーズは、5年連続のNBAファイナル進出、そしてスリーピート(3連覇)に挑戦する権利を得るまで、あと1勝に迫った。