ジョーダンとウェストブルックの共通点
今のサンダーは、良くも悪くもラッセル・ウェストブルック次第のチーム。選手個々の能力、総合力に勝るロケッツとの西カンファレンス1回戦でアップセットを実現させるには、ウェストブルックがチームの底力を引き出す以外に方法はない。
4月21日にチェサピーク・エナジー・アリーナで行なわれた第3戦、ウェストブルックは32得点13リバウンド11アシスト3スティールの大活躍を見せ、プレーオフでのキャリア7回目、そして2002年のジェイソン・キッド以来プレーオフでは初の2試合連続『トリプル・ダブル』を記録した。
第4クォーター残り10秒を切ってロケッツに1点差に迫られながらも、ウェストブルックのフリースローで逃げ切り、サンダーが115-113で勝利。シリーズ初勝利を挙げて通算成績を1勝2敗とした。
現役時代のプレーフォームがNBAの公式ロゴシルエットのデザインに使用されているとも言われるバスケットボール殿堂入り選手のジェリー・ウェストは、『ESPN』の番組でウェストブルックを「マイケル・ジョーダンの再来」と絶賛した。
『バスケットボールの神様』と称賛されるジョーダンとの比較に異論を唱えるファンも多いだろうが、ウェストはウェストブルックの能力を極めて高く評価。「身体能力だけを見ればジョーダンより上かもしれない」とまで言っている。
時代が違うとはいえ、史上2人目の『平均トリプル・ダブル』を達成し、『トリプル・ダブル』の年間達成回数でNBA新記録を樹立したウェストブルックを過小評価するのは間違っている。
NBA選手としてのキャリアをブルズでスタートさせたジョーダンは、1年目から類稀な身体能力、得点能力、バスケットボールセンスを発揮したが、当時のブルズは強豪ではなかった。ジョーダンが一人でボールを持つ時間、シュート本数が増えたことで批判もされた。この状況は今シーズンのサンダーにも当てはまる。
Russ delivers his 2nd straight Playoff TD…7th of his postseason career. @BudLight Photo of the Game. pic.twitter.com/BpPi0Krp81
— OKC THUNDER (@okcthunder) 2017年4月22日
2試合連続『トリプル・ダブル』を記録
かつての『盟友』ケビン・デュラントがフリーエージェントの権利を行使しウォリアーズに移籍した以上、サンダーが勝つには『オールラウンダー』のウェストブルックにチームを託す以外に方法がないのは自明の理だ。
短期決戦のプレーオフを勝ち上がるには勢いが必要だ。勝つには勝ったが、ウェストブルックは第3戦後のインタビューで、試合終盤に3本のフリースローを外したことを悔やみ、苛立った様子を見せた。今後も接戦が続くことが予想されるため、確実に得点を決められるフリースローの失投は少なければ少ない方が良いのは当然だ。
下馬評では圧倒的にロケッツが有利と見られている中、シリーズ開幕前に「コートでの親友はバスケットボールだけ」と語ったウェストブルックの目には、シリーズ突破、NBA優勝しか映っていない。