ポール・ジョージがドライブでキャブズ守備陣を蹂躙
プレーオフ1回戦、キャバリアーズとペイサーズの第3戦。連敗してホームに戻って来たペイサーズが前半は最高のパフォーマンスを見せる。立ち上がりこそ拮抗したが、キャブズがセンターのトリスタン・トンプソンを休ませた第1クォーター残り4分半から、ペイサーズが走る。
ポイントとなったのは、ポール・ジョージを中心にドライブでガンガン仕掛ける強気のオフェンスだった。キャブズはドライブの一歩目でスピード負けし、良いコースを取られてしまい後手に回る。特にジョージのドライブを止められず、そこから得点、アシストと蹂躙された。
第2クォーターに入っても流れは変わらず、第2クォーターが始まって1分でトンプソン、そしてケビン・ラブ、JR・スミスをコートに戻す。トンプソンを休ませた5分半の間に3点だったビハインドは27-40の13点にまで開いていた。
強引すぎるように見える攻めでも、フィニッシュまできっちり持っていき、ビッグショットを連発したペイサーズは完全に勢いに乗っており、主力が戻ったキャブズでも止められない。マイルズ・ターナーが自らのミスショットのリバウンドを拾い、トンプソンの上からダンクを決めると場内は大興奮。残り6分40秒にはランス・スティーブンソンのスローインからジョージがアリウープを決めてまた盛り上がる。ジョージをフリーにする連係ミスに、レブロン・ジェームズがトンプソンに怒りを露わにする場面も見られた。
キャブズはレギュラーシーズン終盤のインサイドの守備の課題が露呈。レギュラシーズン1位を捨てて選手のコンディション調整に徹したことが功を奏し、第1戦と第2戦では快勝したが、守備の課題は抱えたままだった。
ペイサーズのリズムを乱そうとジョージをファウルで止めるが、そのジョージは第2クォーターに得た8本のフリースローをすべて成功させる盤石の出来。こうしてペイサーズが74-49と大量リードを奪って前半を終えた。
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『キング』が豪快ダンクで連発で勝利を引き寄せる
だが、後半は完全にキャブズのゲームに。結論から言うと後半は70-40とキャブズが圧倒して逆転勝利を収めている。その立役者は『キング』だった。前半時点でプレーオフの通算得点でコービー・ブライアントを抜き歴代3位に浮上していたレブロン・ジェームズは、後半に入るとトップギアで25点差を追い上げる。
第3クォーターは3ポイントシュート攻勢。この中でジェームズはプレーオフでの通算3ポイントシュート成功数でコービーを抜き4位に浮上。84-91と7点差まで詰め寄る。
最終クォーターの立ち上がりはポール・ジョージが意地の連続5得点でリードを再び2桁に広げるが、もはや勢いはキャブズ。残り7分にジェームズのダンクでついに98-98の同点に追い付くと、ジョージのドライブをきっちり止めてボールを奪い、すぐさま速攻に転じて再びレブロンのダンクが炸裂。
終盤はペイサーズが食い下がるも、自信を取り戻したキャブズはもう簡単には崩せなかった。残り1分16秒、107-111と4点差の状況、ドライブで強引に仕掛けるジョージをフライとJR・スミスが挟み込むように止めてボールは外へ。ビデオ判定の結果、これがキャブズボールで再開となり、ペイサーズが重要なポゼッションを失う。そしてキャブズが素早いパスワークからJR・スミスのドライブ、そこからのキックアウトでペイサーズの守備を完全に崩し、オープンのフライが決めた3ポイントシュートが勝敗を決定付けた。119-114、キャブズが大逆転勝利を収め、3連勝を飾った。
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レブロン「良い攻撃は良い守備から生まれる」
36得点15リバウンド9アシストと素晴らしいスタッツを残したポール・ジョージだが、敗れたのでは意味がない。「相手を追い詰めたところで気を緩めてしまった。ボールへの執着心を失い、前半にやれていた激しいプレーが全く出せなかった」と肩を落とす。これで0勝3敗、1回戦突破は極めて困難となってしまった。
一方のレブロン・ジェームズは、後半に70得点を奪う大逆転劇の要因を「良い攻撃は良い守備から生まれるものだ」と守備に求めた。「多少なりとも相手のパンチを受けるのは覚悟していたけど、狼狽させられるくらいの猛打をもらってしまった。ハーフタイムにはチームメートに『まずは何本か相手の攻撃を止めよう』と言った」
「プレーオフの試合で、敵地で勝つというだけでも大変なこと。今夜チームが逆転勝利を収めた形は、その何倍も大変なこと」とレブロンは言う。劇的な勝利ではあったが、苦しんだ上での勝利であったことも間違いない。プレーオフに簡単な試合は一つもないとあらためて感じさせられる試合だった。
ペイサーズはこの3試合を通して持ち味を発揮しているが、キャブズがそれを上回っての3連勝。スウィープ回避へ、そして逆転での勝ち上がりに可能性をつなぐため、中2日で行われる第4戦に臨む。