平良彰吾

初戦を落とすも、積極的なアタックで流れをもたらす

琉球ゴールデンキングスは、Bリーグファイナルのゲーム1で宇都宮ブレックスに68-81で敗れた。

琉球は立ち上がりから宇都宮の持ち味である3ポイントシュートを抑えられず、試合全体で39本中16本、成功率41%と高確率で決められてしまった。ファイナルの大舞台で決め切った宇都宮の決定力を称賛すべきだが、一方でオープンで打たれた場面も少なくなかった。

また、自分たちのオフェンスでは、2点シュートが44本中19本成功の43.2%、フリースローも21本中12本成功の57.1%に留まった。宇都宮の平面での激しいプレッシャーに苦しみ、シュートで終われない場面も少なくなかった。その結果、オフェンスリバウンドで20-10と大きく上回りながら、フィールドゴールの合計本数は67-66の互角と、アドバンテージを生かせなかった。

攻守ともに後手に回り、もっと多くの点差がついてもおかしくなかったが、第4クォーターに立て直し、このクォーターに限れば23-22と上回ったことは明るい材料だ。

琉球の司令塔である平良彰吾は、攻守ともにアグレッシブなプレーを見せ、10分39秒の出場時間で4得点2アシストを記録。彼の出場した時間のプラスマイナスが、チーム唯一のプラスとなる+1だったことが貢献度の高さを物語る。平良の奮闘なくして第4クォーターの巻き返しもなく、琉球は悪い流れのまま試合を終えていただろう。

「もっとリバウンド、ディフェンスを改善できると思います。それをチームでやってゲーム3の火曜日に繋いでいきたいです」

このように平良は試合を総括する。最も警戒すべき3ポイントシュートを高確率で決められたことについて「イージーに打たれすぎました」と反省する。

「オフェンスリバウンドを取られたことで、守備が崩れてセカンドチャンスから打たれたところもあります。どうしようもない時もありますが、もっとチームで拾えるところはあるので明日、修正すれば勝ちに繋がってくると思います」

平良彰吾

「去年のファイナルはバスケットLIVEで見ている立場」

チームリーダーのヴィック・ローは、次のように宇都宮への敬意を示す。「ブレックスは良いチームです。ボールをよく散らすことで24のアシストを記録しました。明日はもっとハードにプレーする必要があります。セミファイナルで戦った三遠はトランジションに優れたとても速いチームでしたが、ブレックスはハーフコートオフェンスが多く、優れたスクリーンをかけてきて、コートにいる全員が外からシュートを狙ってきます。ビッグマンのグラント・ジェレット、ギャビン・エドワーズがともに3ポイントシュートを打ってくるのはタフですし、ニュービルも良いプレーをしました」

ただ、ローは「僕たちはしっかりとアジャストしないといけない」と言い訳をしない。そして「僕たちはゲーム3を多く戦ってきました。まずは明日、やり返すだけです」と巻き返しに自信を持っている。

平良は今シーズン開幕時、B3の横浜エクセレンスに在籍していた。それがポイントガードの駒不足を受け11月になって琉球にレンタル移籍し、活躍が評価されての期間延長で現在に至っている。

ここまで自分の役割を着実に遂行する『仕事人』ぶりを発揮し、昨シーズンまでB1でのプレー経験がなく、今回がキャリア初のチャンピオンシップであることを全く感じさせない。その平良はチームの悪い流れを変えた自身の積極的なアタックをこう語る。「ウチはインサイド陣が強いですが、他の選手のペイントアタックも必要だと思います。自分も前半の出だしからもっとアタックできたら違う流れを作れました」

また、司令塔としてオフェンスにリズムを生み出したいと意気込む。「アタックするところはアタックし、その中でもっと球離れを良くしてボールムーブを作らないといけない。チーム全員が良い形でプレーできるようにしていきたいです」

負けたらシーズン終了となるゲーム2へ向け、「去年、ファイナルはバスケットLIVEで見ている立場でした。この環境は当たり前ではないのでチームに恩返しをしたい、悔いの残らないプレーをしたいです」と強い覚悟を持ってコートに立つ。

琉球が劣勢を跳ね返し、ゲーム3に繋げていくためには誰か一人の大暴れではなく、チームでのステップアップが求められる。そのためには、チームの士気を高める平良の攻守に渡るアグレッシブなプレーが欠かせない。