岐路に立つセルティックスを支えるニーズと責任感
アル・ホーフォードはキャリア18年目のシーズンを終えた。セルティックスはプレーオフのセカンドラウンドでニックスに敗れた。最初のホーム2試合を落としたことで劣勢に追い込まれ、第4戦ではジェイソン・テイタムがアキレス腱を断裂。第5戦で一矢報いたものの、最後は38点差の完敗となった。
「ホームで連敗して、戦っている間はそこから逆転できると信じていたが、あそこで相手を勢いに乗せてしまったことで、挽回するのは難しくなった。第6戦で大敗するまでは、僕たちの方が良いチームだと感じていたんだけど……」
敗退決定の翌日の会見で、ホーフォードはまだ痛手から立ち直ってはいなかった。「第6戦でニックスの方が優れていたことは認めなければいけない。僕たちは良いチームだったけど、勝つために必要なレベルのプレーができなかった。それを疲労やケガのせいにはしたくない。ただ単に十分なプレーができず、チームのまとまりも欠いていた」
「セルティックスとしてあるべきレベルに達しておらず、目標を達成できなかったという厳しい現実を受け入れなければならない。シーズンを通して目指すレベルを体現できた時期もあったけど、続けられなかった」
彼は38歳になったが、今もトップレベルを維持している。ホークスでデビューし、キャリア10年目のセルティックス移籍を機に全盛期を迎え、一度はセルティックスを離れて苦しい時期を経験したものの、復帰後は大ベテランの年齢になっても力強く、なおかつ賢いプレーでチームを支える屋台骨となっている。
今シーズンは60試合に出場し、うち42試合に先発してプレータイムは27.7分。レギュラーシーズン終盤からプレーオフにかけてクリスタプス・ポルジンギスが体調不良に苦しんだことで、11試合すべてに出場したプレーオフでは31.6分と出場時間を伸ばした。
「何週間かかけて自分なりに考えてみるよ」
バスケIQの高いビッグマンとしてのプレーはもちろん、チームリーダーとしてのホーフォードの存在は大きい。ペイトン・プリチャードは「彼はこのチームのリーダーで、みんなが必要としている」と語る。
しかし、セルティックスとの2年1950万ドル(約29億円)の契約が満了を迎える今、彼は現役続行を躊躇っている。セルティックスは彼を残留させたいだろうが、彼は「まずは妻や子供たちと過ごしたい。まだシーズンが終わったばかりで、自分の中でいろんなことを消化する必要がある。それは簡単じゃない」と、現役続行を明言しなかった。
「春先にはまだ何年かプレーすると言っていた。心変わりの理由はテイタムのケガなのか?」と問いただす地元記者の質問に、「分かっている。分かっているよ」とアル・ホーフォードは答える。
「だけど、まだそのことについて話す準備ができていない。いろんなことが起きたばかりで、何週間かかけて自分なりに考えてみるよ」
セルティックスは現時点で来シーズンのリーグ最高年俸となる重い契約を抱え、エースのテイタムはアキレス腱断裂でおそらく来シーズンを全休する。今オフにはサラリーキャップのセカンドエプロン超過を避けるため、主力の何人かを手放すことになるだろう。チームが岐路に立っているからこそ、アル・ホーフォードのリーダーシップは今まで以上に重要なものになる。その重責を背負えるかどうか、まずは彼自身が覚悟を決めなければならない。