パスカル・シアカム

スタミナでもプレーの多彩さでもペイサーズが上回る

東のカンファレンスファイナル第2戦は、クラッチタイムに異様な強さを見せるペイサーズがまたも第4クォーターに抜け出して初戦からの2連勝としました。バランスアタックが特徴のペイサーズですが、この試合ではパスカル・シアカムがフィールドゴール成功率65.2%の39得点と大爆発しています。

ゲーム1でのシアカムは、フィールドゴール成功率43.8%で17得点は奪ったものの、個人技でのアタックは止められていましたが、そこから打って変わって試合開始直後からポストアップしてのフェイダウェイシュートが次々に決まります。特に前半はチーム49得点のうち23得点を彼だけで奪い、調子が上がらなかったチームオフェンスを牽引しました。

ニックスはタイリース・ハリバートンのツーメンゲームに加え、ゲーム1の嫌なイメージからアーロン・ネスミスの3ポイントシュートを止めることをゲームプランにしていたはずです。そのためシアカムのポストアップを中心とするオフェンスの構築は予想外で、1on1での対応しか取れませんでした。

ハリバートンは前半こそ2得点でしたが、後半になるとニックスがシアカムへの対応を強めたことでマークが薄くなり、12得点6アシストと調子を上げました。同時にチームとしてもオフェンスのテンポが上がり、後半は65得点を奪って得意の点の取り合いに持ち込むことに成功しました。

後半のシアカムは1on1からの得点は伸びませんでしたが、合わせのカッティングやキックアウトを待っての3ポイントシュートで得点を重ね、残り3分ではハリバートンがディフェンスリバウンドを取った瞬間に走り出すとロングパスを受けての速攻を決めました。これで10点差、全員に疲れが出ている試合終盤に、自らもゴール下でリバウンドに参加していたにもかかわらず、全員を置き去りにするフリーランニングで得点を生み出すプレーが決定打となりました。

ペイサーズはバランス良く得点を奪うという意味では『バランスアタック』ではなかったのですが、相手ディフェンスの薄いところを効果的に攻めていくという意味では見事な『バランスアタック』でした。

ニックスは前半はシアカムを、後半はハリバートンを止められず。結果論ではありますが、ハリバートンからの展開を優先して抑える形は変えず、シアカムの得点は許容するのが正解だったのかもしれません。

ニックスはベンチメンバーの活躍もあってスターターのプレータイムを抑えられたのですが、またもペイサーズの運動量とスピードに屈しました。ジェイレン・ブランソンが36得点11アシストと気を吐くも、個人での打開に頼っている面が大きく、チームとして機能しているのはペイサーズのバランスアタックです。2試合続けての接戦で、どちらが勝ってもおかしくない展開でしたが、スタミナでもプレーの多彩さでも最後に余力を残しているペイサーズが上回りました。