
バンケロを称賛「パオロと勝負できて良かった」
マジックはジャマール・モズリーの下、若さと運動量、フィジカルを前面に押し出した激しいディフェンスで2年連続のプレーオフ進出を果たした。昨シーズンはキャバリアーズを相手に3勝4敗、今回もセルティックスに1勝3敗でファーストラウンド敗退となったが、この1年で自分たちのスタイルをさらに突き詰め、侮れないチームへと成長した。
ボディコンタクト、ハンドチェック、前からの強烈なプレッシャーに加えてリムプロテクトも強く、ベンチメンバーを入れてどんなラインナップでも守備の強度が落ちない。ただし、セルティックスは試合巧者だった。シリーズを通してマジックのフィジカルに苦しみ、フラストレーションを溜めながらも、ホームでの第5戦で確実に仕留めるプレーに出た。
47-49と2点ビハインドで迎えた後半、たった2分半でパオロ・バンケロから3つのファウルを引き出す。前半に2つだった個人ファウルが5つとなったバンケロはベンチに下げざるを得ない。そこから第3クォーター終了までにセルティックスは30-9のランで、リードを21点に広げた。第4クォーター開始とともにバンケロはコートに戻ったが、もうファウルができない状況では思い切ってプレーできない。第4クォーターも快調にリードを広げたセルティックスが120-89の快勝を収めた。
決して簡単なシリーズではなかったが、それでも4勝1敗で片を付けた。ジェイソン・テイタムは激しいプレーでケガをさせられ第2戦を欠場し、ジェイレン・ブラウンはファウルぎりぎりの強度でコンタクトを重ねるラフなプレーにファウルが吹かれないことに激怒していた。クリスタプス・ポルジンギスは額を切って大流血した。これらすべては彼らがマジックの術中にはまったことを示しているが、それでも精神的に崩れることなく勝ち切った。
ベテランのアル・ホーフォードはこう語る。「いろんな面で難しいシリーズだった。マジックの選手たちは激しく戦い、僕らは自分たちの慣れ親しんだスタイルでプレーさせてもらえなかった。でも、そんな状況でも効率良くプレーする方法を見いだし、勝てた意味は大きい」
テイタムは35得点8リバウンド10アシストと大活躍
この試合、テイタムはフィールドゴール16本中10本成功、フリースローは10本獲得してすべて決め、35得点8リバウンド10アシストを記録した。最も厳しいマークを浴びながら効率良くプレーするテイタムを、ホーフォードは「やるべき時にやってくれる選手だ」と称える。「その瞬間に何をすべきかを理解し、主導権を握る。あらゆるプレーが素晴らしく、僕たちを勝利に導いてくれた」
そのテイタムは「オールスイッチで僕らの3ポイントシュートを徹底的に消そうとしてきたし、今日はゾーンディフェンスを使ったりマッチアップを変更して、僕らにいつもと違うプレーを強いてきた」とマジックの多彩なディフェンスに苦戦したことを認めながらも、リラックスしてプレーオフに臨んでいると語る。
「今シーズンはこれまでで一番、気楽にバスケを楽しめている。昨シーズンに優勝できたおかげで、その重圧から解き放たれた。もちろん今シーズンも優勝を狙っているけど、プレッシャーを感じることがないから目の前のプレーにより集中できる。自分たちに何ができるかは分かっているから、そこに到達するだけでいいと思える」
今のテイタムは、強敵とのマッチアップも楽しめる心境になっている。今回の相手はバンケロだった。結果的に彼のファウルトラブルが勝敗に大きく影響した試合を終えて「パオロと勝負できて良かった」とテイタムは語る。
「シリーズ中は一言もしゃべらなかったけど、さっき廊下で少し話したんだ。同じデューク大の出身で、NBAで毎年成長している彼が、このシリーズで素晴らしいプレーを見せた。マッチアップする側からすると悪夢だけど(笑)、彼の成長は本当にうれしい。成長し続ける彼と今後も長く戦うことになる。楽しみだよ」