トレイ・ヤング

「来年の今頃はプレーオフを戦っていたい」

ホークスは2シーズン連続でプレーイン・トーナメント敗退によりシーズンを終えた。トレイ・ヤングはリーグ14位の24.2得点、リーグ1位の11.6アシストとエースとしての役割を果たしたものの、今回もチームは結果を残せなかった。

ヤングはNBAで最高のプレーメーカーであり、非凡な得点力も備え、しかもこれからキャリアの全盛期を迎える26歳。ヤングの能力を引き出す若いウイングがそろう今のロスターは決してバランスが悪いわけではなく、何か少しのきっかけでうまく噛み合えば強力なチームへと変貌を遂げるポテンシャルも秘めている。

しかし、そのポテンシャルがいまだ発揮されないことにヤングは心中穏やかではない。「優勝したことはないけど、プレーオフでそれなりに勝ち進んだことはあるわけだから、勝つのが不可能だとは思っていない」

口調は穏やかだが、ヤングは『怒り』という言葉を口にした。「勝てないことに怒るのは普通だ。『負けてもいい』なんて思わないからね。だから気分は良くない。こんなに早くオフを迎えることに怒っているし、当惑しているよ。でも、それを変えるための何かをすることへ意識を向けたい。勝つためならどんな変化も受け入れるつもりだ」

そしてホークスは『変化』に出た。シーズンが終わるとただちにランドリー・フィールズGMを解雇。アシスタントGMのオンシ・サレフが後任としてGMに昇格するが、新たにバスケットボール運営部門の社長を置き、その人物にチーム編成を委ねるべく、適任者を探している。

ホークスのリリースにはこのような記載があった。「このオフは重要な決断をいくつも下さなければいけない重要なもので、高い精度と先見性を持ったリーダーを迎え、オンシと協力体制を作りたい」

ダイソン・ダニエルズ

結果を出せなかったランドリー・フィールズGMを解雇

フィールズは2020年10月にトラビス・シュレンクGMのアシスタントとしてホークスに加わり、2022年6月のシュレンク退任に伴い後任のGMとなった。フィールズがアシスタントGMになった最初のシーズンにチームはカンファレンスファイナルに進出したが、その後の2年はファーストラウンド止まり。直近の2年は勝率が5割に届かず、プレーインで敗れた。

フィールズがGMとして最初に打った重要な一手がデジャンテ・マレーの獲得だったが、エースのヤングと噛み合わずに2年で放出することに。今のチームにはダイソン・ダニエルズ、ザッカリー・リザシェイ、ジェイレン・ジョンソン、オニエカ・オコングと長く中心選手として働ける20代前半のタレントがそろっているものの、2028年まで1巡目指名権を持っていない。

エースのヤングはホークスでの7シーズンで、カンファレンスファイナルに進出した1年を除けば負け続けており、契約延長に応じない可能性がある。そうなれば来年オフにフリーエージェントになる彼を何の代償もなく失うリスクを避けるため、トレードを検討しなければならない。エースの契約問題を処理しつつ、この先の数年で誰をメインに据え、どんなチームの成長路線を取るかを決める必要がある。

「シーズンは終わったばかりだ。少しバスケから離れて頭をリフレッシュさせるよ」とヤングは言い、こう続けた。「だけどプレーオフは見るよ。今シーズンに何があったかは別として、プレーオフに出るべきだったとみんな感じているだろうし、それが新シーズンへのモチベーションになる。来年の今頃はプレーオフを戦っていたい。その時のために試合を見ておくんだ」