赤木里帆

わずか35失点の圧勝、優勝の行方は第5戦へ

4月13日、富士通レッドウェーブとデンソーアイリスによるWリーグファイナル第4戦が行われた。3戦先勝方式で1勝2敗と追い込まれた富士通が、試合を通してデンソーを完全に抑え込んで64-35と圧勝。優勝の行方は明日の第5戦に持ち込まれた。

富士通は試合の立ち上がりからボールマンに激しいプレッシャーをかけ、デンソーのボールムーブを停滞させ、主導権を握る。デンソーも粘り強いディフェンスで耐えたが、富士通は27-23で迎えた後半の出だしで7-0と流れを引き寄せると、5人が連動する強固なディフェンスで、デンソーの攻め手を封じる。こうしてタフショットを打たせてはリバウンドを力強くもぎ取り、完勝を収めた。

35失点が示すように、この試合の富士通は文句なしの堅守を見せた。デンソーのシュートアテンプトは3ポイントが30本で2ポイントが25本と、外角シュートがいつもより多かったが、これはインサイドアタックができず、外から打たざるを得なかった結果だ。

一方で富士通も3ポイントシュートが15本中成功わずか3本と不発に終わったが、序盤から力強いインサイドアタックを仕掛けることで得点を重ねた。中でもインパクトを与えたのは赤木里帆だ。

「チャンスがあったらしっかりアタックし、ボールムーブから全員で攻める富士通のバスケットを意識しました」

こう試合を振り返る赤木は、フィールドゴール8本中6本成功の14得点を挙げた。第3クォーター最初のオフェンスでドライブからのバスケット・カウント、直後にもオフバランスでのタフショットをねじ込んだ。第4クォーター残り5分には勝負を決定付ける3ポイントシュートと、要所での活躍が光った。

赤木里帆

運命の第5戦「ターンオーバーとリバウンドが鍵に」

赤木は昨年のプレーオフでもセミファイナルの第3戦で8得点5リバウンド4アシスト2スティール、ファイナルの第3戦でも17分出場で12得点と、大一番での活躍が記憶に新しい。

負けたら終わりの『崖っぷち』で発揮する勝負強さについて、赤木は「常に崖っぷちと思っています」と、日頃から危機感を持つことで、いつもと変わらないメンタルでプレーできている。

オフェンスで意識するのは、他の選手に任せず主体的に攻めることだ。「町田瑠唯さんや他の選手に頼るのではなく、しっかり自分の役割をこなす。富士通は全員にそれぞれの持ち味があるので、そこに上手くフィットする。自分が活躍するというより、自分が動いて周りを生かしてチームのために貢献できるようにプレーしています」

激闘のファイナルも明日の第5戦が最後となる。両チームの対戦は、レギュラーシーズンでの4度、皇后杯の準決勝と合わせて、実に10度目となる。デンソーの赤穂ひまわりは、「お互いを知り尽くしています。あとはどれだけ自分たちのプレーをできるか」と遂行力が勝敗を分けると語る。

富士通の中心選手、宮澤夕貴は「ターンオーバーの数はすごく大事です。今日は私が4つしてしまいましたが、チーム的には10と少ない数でした。デンソーさんは22だったので、それが勝敗を分けました。ターンオーバーとリバウンドが鍵になると思います」と言う。赤木も「何回も相手にシュートチャンスを許せば勢いを与えてしまいます。リバウンドをしっかりと取り切りたいです」と宮澤と同じ意見だ。

運命の第5戦は富士通の連覇か、デンソーの初優勝か。最後までもつれる熱戦を期待したい。