最大22点のビハインド「勝って反省すべき試合」
4月6日、ファイティングイーグルス名古屋は川崎ブレイブサンダースと対戦。前日の第1戦に引き続き、序盤からビハインドを背負う展開となったが、後半に逆転し82-73で連勝を飾った。
前半、川崎の高確率なシュートやトランジションに手を焼いたFE名古屋は、第1クォーターで17点のビハインドを背負う。第2クォーターに立て直したものの、点差を詰めるには至らずに後半を迎えた。
それでも第3クォーターに形勢を一気にひっくり返す。8つのターンオーバーを奪い、オフェンスリバウンドも5つ獲得してポゼッションを増やして川崎を圧倒し、25-3のビッグクォーターとする。最終クォーターで立て直した川崎に一度は再逆転を許すも、終盤にディフェンスの強度を挙げてFE名古屋が勝利を手にした。
連日の逆転劇となったが、2試合とも前半の入りは課題が残る。この試合で攻守に渡って奮闘した佐土原遼は、「前半に上手くいかず中途半端なバスケをしてしまい、後半巻き返そうとエンジンかけても追いつけない展開が自分たちの負けるパターンです」と課題を語り、「今日もそのパターンになりそうでしたが、上手くハマりました。勝って反省すべき試合でした」と続けた。
アーロン・ヘンリーをスモールフォワードで起用する関係上、佐土原はシーズンを通じて外国籍選手とマッチアップする機会が多い。この試合でも192cmの佐土原は10cm以上大きいアリゼ・ジョンソンやロスコ・アレンを守った。それでも1on1で簡単にやられることはなく、フィジカルでも十分に渡り合った。
ただ、その大健闘も佐土原の自己評価は辛口だ。「気持ち的に負けたくないとやっていますが、サイズでは相手の方が有利ですし、チーム全体で守ろうと話しています。できるだけ一人で守るように、相手がやりたいことをやらせないように意識していますが、すべてを止めるのは難しいことです。それを任されるのは楽しいことでもありますが、苦戦していることでもあります」
「A東京戦でシュートが入り、天狗になっていた」
佐土原はオフェンス面でもステップアップが見られる。平均12.7得点を記録し、昨シーズンの8.7得点から大きく伸ばしている。ただし、今節では3ポイントシュートが不発に終わり、両日とも7得点に終わった。
「ちょっと前も入らなくて、でもアルバルク東京戦では入ったのでホッとしていました。良いイメージを持って川崎戦に臨みましたが入らなかったので、天狗になっていたと思います。これが現段階での自分のレベルだと認識して次に向けてやっていきます」
得点が伸びなくてもチームにとってはいなくてはならない選手である。この試合、チーム最長の34分14秒コートに立った佐土原は、それをしっかり自覚している。
「プレータイムが伸びているのはシュート以外の部分も求めれている証拠ですし、アシストやリバウンドでも貢献はできました。シュートが入らなくてもチームの底上げはできるので、そこにフォーカスできたのは良かったです」
今シーズンは日本代表デビューも果たして、リーグ全体からの評価も急上昇した。今シーズンの自身の成長をどのように感じているのだろうか。
「ただ、がむしゃらにやっているだけなんで……。ただ思い切りの良さは昨シーズンよりも増していると感じています。チームシステムはしっかりありますが、その中での自由度が増しているので、やりやすいです」
その思い切りの良さが結果に繋がることで自信を増しているかと思いきや、佐土原は「全く自信がないわけではないですが、自分の中ではそういうのはあまりなくて(笑)」と言う。「自信があるように思われがちですけど、やるべきことをやって、打つべきところで打って、それが入っているだけです」
FE名古屋は現在23勝26敗で中地区6位。勝率は5割を下回っているが、直近ではA東京に勝利するなど上位チームと戦える力が備わってきている。シーズン終盤に入り、佐土原は最後まで前を向く。
「チャンピオンシップ進出は他力本願の状況ですが、残り11試合を全勝します。強豪チームとの対戦も残していますが、チームとしてレベルアップできるようにコミュニケーションをとっていきたいです」
すべて勝てば昨シーズンの成績を上回る。簡単な道のりではないとしても、その期待を大きく持たせてくれる今節の2試合だった。若き日本人エースとして急成長する佐土原の挑戦はまだまだ続く。