ブラッドリー・ビール

西カンファレンス11位、プレーオフ進出へ崖っぷち

サンズはプレーオフへ最後の可能性となる10位をキングスと争っているが、ケビン・デュラントが足首を捻挫し、エースの離脱を挟んでチームは4連敗中。現地4月4日のセルティックス戦では、左足ハムストリングを痛めていたブラッドリー・ビールが3週間ぶりの復帰を果たした。しかし、30分のプレーでフィールドゴール成功なし、フリースローによる1得点と、デュラント不在による得点力不足を補うという期待には全く応えられなかった。

チームもセルティックスに対抗できたのは試合開始からの10分間だけ。第1クォーターのラスト2分で8-0のランを食らうとそのまま立て直せず、第2クォーター開始から約4分で20点差を付けられた。ロイス・オニールもケガから復帰したがリズムに乗れず、ニック・リチャーズに代わって先発センターに抜擢されたオソ・イガダロもセルティックスのベテラン勢に翻弄された。

ビールは3週間ぶりのプレーながら動き自体は悪くなく、ディフェンスでは堅実な働きを見せたが、チームに必要な得点という面で結果を残せる気配がなかった。結果としてビール不在の穴を埋めていたコリン・ギレスピーが控えに回ってプレータイムが13分だけとなり、オフェンスは機能せず。デビン・ブッカーがフィールドゴール29本中15本成功の37得点と孤軍奮闘するも、第2クォーター序盤に付けられた20点差のまま試合は推移し、103-123で敗れた。

10位でプレーイン・トーナメントに進んでも、一発勝負を2試合勝ち抜く必要があり、そこで疲弊してプレーオフを迎えることになる。茨の道なのは間違いない。その10位に入るために1試合も落とせない状況ではあるが、今のチーム状態で前年王者のセルティックスに勝つのは難しかったと言わざるを得ない。

「次は今日よりずっと良いプレーを追求できる」

痛い敗戦ではあるが、ヘッドコーチのマイク・ブーデンフォルツァーはセルティックスの3ポイントシュートを封じるディフェンス戦術が機能したことを収穫とし、それを次に繋げたいと語る。ビールについては「復帰戦でいきなり結果を出すこともあるが、基本的には簡単ではない」と擁護し、こう続けた。「今日の彼は自分らしくプレーする方法を模索していた。次の試合に向けて練習を続けることが彼にはプラスになる。我々は彼を必要としているんだ」

ビールも同様に「コンディションはかなり良くなった。ここからポジティブな要素を引き出して、次の試合に向けた準備を進めたい」と、この復帰戦をポジティブにとらえようとしたが、苦戦するチームに貢献できなかったのは事実だ。そこに忸怩たる思いはあるが、キャリア13年目の経験から、物事は一歩ずつしか進められないことも理解している。

「まずは試合のリズムを取り戻さなければいけなかった。ゲームに慣れ、アグレッシブにプレーするのに少々苦戦した」とビールは言う。

「精神的な葛藤はある。フルスロットルでプレーしたいけど、自分を悪い方向に追い込むようなことはしたくない。これは僕が今、乗り越えなきゃいけない精神的な問題なんだ。だからまずは試合に戻って来れたことを前向きにとらえたい。次は今日よりずっと良いプレーを追求できる。まずは一つクリアした、そのことに安心感がある」

低迷するサンズで批判の矛先が真っ先に向けられるのは、年俸5000万ドル(約75億円)に見合った働きができていないビールだ。その責任を痛感しながらも、彼は一歩ずつ前に進んでいく。

レギュラーシーズンは残り5試合、対戦相手にはニックス、ウォリアーズ、サンダーと好調なチームが多く、最終戦はプレーイン・トーナメントを争うキングスとの一騎打ちとなる。サンズがこの苦境を乗り越えてプレーオフ進出を果たすためには、ブーデンフォルツァーの言う通り、『本来の爆発力を取り戻した』ビールが必要なのは間違いない。