トレイ・ヤング

トレードとケガによる戦力ダウンの予想を覆す

今シーズンのホークスはデジャンテ・マレーを放出して戦力ダウンが予想されましたが、スティールとディフレクションでリーグNo.1のダイソン・ダニエルズがヤングの相棒としてフィットし、何よりジェイレン・ジョンソンがインサイドのプレーメーカーとして成長したことで、新たな可能性を見いだすシーズンとなっています。

しかし、そのジョンソンがケガで今シーズンに復帰できなくなるとチームは急降下。5連敗で22勝27敗まで落ち込み、さらにトレードデッドラインではサラリー総額を下げる動きとしてディアンドレ・ハンターやボクダン・ボグダノビッチを放出したこともあり、今シーズンはあきらめたかに思われました。

ところがトレードで加入したキャリス・ルバート、ジョージ・ニヤン、テレンス・マンが揃って高確率でシュートを決めてチームを助けただけでなく、ドラフト1位ルーキーのザッカリー・リザシェイも2月以降は3ポイントシュート成功率が40%を超え、得点面での貢献が目立つようになりました。

ここまで11.4アシストとリーグトップを突き進むトレイ・ヤングのパスから誰もがフィニッシュに絡むオフェンスで、エース級の選手が離脱しても次々に代役が活躍する好循環が生まれています。同時にそれぞれが武器を持ったウイング陣を使い分けることで、戦い方にも幅が生まれてきました。

万能なリザシェイとフィジカルなモハメッド・ゲイがスターターで、個人技突破が必要ならばルバート、3ポイントシュートが必要ならニアン、プレーメークにアクセントが欲しければビト・クレイチ、マンマークでプレッシャーをかけたいならマン、機動力のあるセンターのオニエカ・オコングと、各選手がそれぞれの特徴を発揮することで試合展開に動きをつけてきます。

ホークスはここまで35勝36敗と勝率5割を下回っているにもかかわらず、東カンファレンスのトップ2、キャバリアーズとセルティックスに勝ち越しており、どんな相手にも勝てる爆発力と、どんな相手にも負ける脆さを併せ持っています。ここに柔軟な対応力が備わることで、脆さという弱点を消せるかもしれません。

まずはプレーイン・トーナメントで勝ち残ることが先決ですが、プレーオフのファーストラウンドでのアップセットを期待したくなる急成長中のチームです。