
得意のディフェンスを軸に欠かせない戦力へと成長
現地3月4日、クリッパーズはサンズに117-119で敗れた。ここ7試合でわずか1勝と、プレーオフ出場争いにおいて正念場を迎えている。
チームトップの平均23.8得点を挙げているノーマン・パウエルの故障離脱が大きな戦力ダウンとなっているが、今シーズンのクリッパーズは粘り強いディフェンスが持ち味のチーム。苦しい状況をいかに我慢できるかのキーマンとなっているのがデリック・ジョーンズJr.だ。
28歳のジョーンズJr.は、2016-17シーズンにサンズでNBAキャリアのスタートを切って以来、チームに定着できずに移籍を繰り返すジャーニーマンの道を歩んできた。それでも昨シーズン、マーベリックスの主力としてNBAファイナル進出に貢献すると、3年3000万ドル(約45億円)と自身最高の大型契約でクリッパーズに加入した。
そのクリッパーズではここまで57試合出場で先発51試合、平均24.9分出場で10.4得点、3.5リバウンドを記録。持ち味の堅いディフェンスに加え、オフェンス面でもキャリア最高のスタッツを残しており、新天地で飛躍している。
『LA Times』によると、クリッパーズのティロン・ルーヘッドコーチは、次のようにジョーンズJr.の貢献度の高さを称えている。「彼のディフェンスが優れていることはみんな知っている。ただ、今の彼はフィールドゴール成功率、3ポイントシュート成功率、出場時間でも素晴らしい数字を残し、大きなステップアップを果たしている」
今やジョーンズJr.は、リーグでも有数のエースキラーと評されているが、これはプロ入りしたサンズでのアール・ワトソンコーチの助言が大きかったと振り返る。
「NBAに入った時、僕はディフェンスが得意な選手ではなかった。でもルーキーイヤーにアール・ワトソンが、『ドラフト外のルーキーが試合に出るには、相手のベストプレーヤーを抑えることが一番だ』と教えてくれた。そして僕はリーチの長さと身体能力があり、フットワークで勝負できる選手であることに気付いた」
この活躍で今やジョーンズJr.は、クリッパーズの主力として確固たる地位を築いた。それを証明するかのように現地5日のピストンズ戦では、観客へのギブアウェイとして彼のボブルヘッド人形がプレゼントされる。
「これまで自分のボブルヘッドが作られたことはなかったから面白いね。僕はこれまで自分の居場所を確保したと感じたことはなかった。今はチームやファンからの愛情を感じる。だから僕はここが大好きなんだ」
ジョーンズJr.はクリッパーズへの愛着を語り、ようやくNBAで安住の地を得た気持ちでいる。勝利にはハングリー精神が欠かせないが、自分の足元が落ち着いている感覚を得られてこそ、プレーに集中して安定したパフォーマンスを発揮できるというもの。ここ2試合を欠場しているジョーンズJr.は、記念すべき『ボブルヘッド・ゲーム』となるピストンズ戦で連敗ストップを狙う。