ベン・シモンズ

今シーズンは33試合に出場して『復活』をアピール

ベン・シモンズはまだセブンティシクサーズに所属していた時期に2020年から始まる5年1億7700万ドル(約270億円)のマックス契約を結んだ。その後にシクサーズとの関係が悪化し、2022年2月にジェームズ・ハーデンとシモンズを中心とするトレードでネッツに移籍した。

ネッツはカイリー・アービングとケビン・デュラントのデュオにロケッツからジェームズ・ハーデンを獲得して『ビッグ3』を結成していたが、カイリーが精神的に不安定で、デュラントにもケガがあり、自己犠牲を強いられながら勝てない状況に不満を表したハーデンを放出する必要があった。この時のネッツは、関係の悪化したシクサーズを離れればシモンズが本来の力を取り戻し、カイリーも放出してシモンズとデュラントのコンビでハイレベルなチームを保つことだった。

ところがシモンズはプレーを再開しても厄介な腰のケガを抱えたままで、かつてのオールスターのパフォーマンスは戻らなかった。カイリーとデュラントにも出ていかれたネッツは『不完全なシモンズ』を抱えたまま再建に入ることとなった。

その後もシモンズの椎間板ヘルニアは完治せず、プレーしたりしなかったりを繰り返してきた。それでも今シーズンはネッツの52試合中33試合に出場し、本人は「健康を取り戻した」とアピールしている。ただしネッツに、今シーズンの4000万ドル(約60億円)を最後に契約満了を迎えるシモンズと再契約する意向がない。

かくして、このタイミングでネッツとシモンズは契約バイアウトに合意した。シモンズの代理人は「トレードデッドラインが過ぎた後の話し合いでバイアウトに合意した。ネッツがベンに与えてくれた最大限の支援と礼節、あらゆる面でベンを支えてくれたことに心から感謝している」との声明を発表している。

そして『ESPN』はシモンズがクリッパーズと契約を結ぶと報じた。クリッパーズとキャバリアーズと面談を行った上で、クリッパーズを選択したようだ。

クリッパーズはここまで28勝23敗で西カンファレンス7位。年明けまでカワイ・レナードの欠場が続いたことを考えると、ジェームズ・ハーデンを攻撃の核としたチームバスケにより健闘してきたと言える。ここからプレーオフに向けてチームをブラッシュアップすべく、ボグダン・ボグダノビッチを獲得。ここにシモンズが加わることになる。

シモンズに主力としてのフル回転は求められていないが、クリッパーズはポイントガードとセンターの層が薄いという特殊なロスター構成となっており、力強いボールプッシュからのプレーメークと1番から5番まで対応できるディフェンス力でチームを底上げすることが期待される。そしてシモンズ個人としては、不運続きで崖っぷちのキャリアにおける正念場となる。