オースティン・リーブス

27歳の誕生日を迎えた八村塁も24得点9リバウンド

アンソニー・デイビスが新天地マーベリックスでデビューを果たした現地2月8日、レイカーズに移籍したルカ・ドンチッチにも出場の可能性があったが、左ふくらはぎの肉離れのため結局は欠場となった。さらにレブロン・ジェームズも左足首のケガで欠場することになり、全国放送が急遽決まったこのペイサーズ戦の注目度は一気に下がってしまった。

しかし、この試合こそが今シーズンここまでレイカーズで最も見応えのある、痛快な内容になったのだからバスケは分からない。運動量豊富でダイナミックにプレーする『ヤング・レイカーズ』で主演を務めたのはオースティン・リーブスだった。41分のプレーでキャリアハイの45得点に加えて7リバウンド7アシスト3スティールとチームを牽引。最初の1分を除いて常にリードする、124-117の完勝へとチームを導いた。

レブロンとドンチッチが不在であっても、彼は勝利へのモチベーションに満ちていた。試合前、ヘッドコーチのJJ・レディックが「今日は38得点8リバウンド8アシストぐらいやってくれないと勝てないぞ」と気合いを入れると、リーブスは「45得点7リバウンド7アシストでいこう!」と答えたそうだ。「本当にやってのけるとはね。すごいパフォーマンスだった」とレディックは笑った。

試合開始最初のプレーは、ドリアン・フィニー・スミスのスクリーンを使って加速してのリバースレイアップだった。そして、マークについたアンドリュー・ネムハードの執拗なハンドチェックを逆手に取り、故意に接触を引き出して放った3ポイントシュートを決める4点プレーで波に乗った。第1クォーターでフィールドゴール6本中5本成功の14得点、さらに2アシストで44-22のビッグクォーターを作り出した。

「実は肘に痛みがあって、プレーするかどうかはトレーナーと相談して決めたんだ。だけど、試合が始まってアドレナリンが身体を駆け巡れば、何の問題もなくプレーできた」とリーブスは言う。「試合開始から5本連続でシュートが決まり、良い波に乗ることができた。それだけじゃなくチームも盛り立ててくれて、タイムアウトになるとベンチの控え選手やレブロン、ルカが『そのままガンガン行け』と励ましてくれた」

目立ったのはリーブスだが、他の選手の活躍も光った。八村塁は27歳の誕生日の試合で24得点9リバウンドと攻守に素晴らしいパフォーマンスを見せた。ゲイブ・ビンセントもプレーメーカーとして7アシストと結果を出し、フィニー・スミスとジャクソン・ヘイズも息の合った連携でリーブスの攻めをサポートした。かつてサンズでプレーし、2ウェイ契約でレイカーズに加わったばかりのジョーダン・グッドウィンも10得点と上々のデビューを果たしている。

リーブスはレブロンやドンチッチとは違い、生まれ持った身体能力や才能でデビュー時点で成功が約束されていたわけではない。ドラフト外で加入した選手が、常に層が厚くて若手がブレイクするのが難しいレイカーズで結果を出し、エース級の存在となっているのは特別なことだ。「僕はコービー・ブライアントが大好きでレイカーズファンになったからね。レイカーズのユニフォームを着てプレーできるだけで最高の気分なんだ」とリーブスは言う。

「もう何回も話してきたことだけど、自分が歩んできた道が普通じゃないことは分かっている。僕がこうなると予想した人は本当に少なくて、夢を追い続けるのは簡単じゃなかった。高校では体育館で練習する以外は本当に何もしていない。酒も飲まずパーティーにも行かず、ひたすらバスケに打ち込んでいたのに、先生からは『バスケがダメだった場合にどうするか考えないといけないぞ』とばかり言われたよ」

そしてリーブスは笑いながらこう続ける。「僕は先生たちのアドバイスを理解できるほど賢くなかった。世間知らずの小僧だったんだよ。でも僕は自分ならできると信じていた。だから僕は子供たちが夢を追いかけるためのモチベーションになりたい。僕からのアドバイスは『誰が何と言おうと、とにかくやってみろ』なんだ」

レブロンとドンチッチの初タッグが見られるからと全国放送が急遽決まったこの試合、そのアテは外れて多くの人がレイカーズの負けを予想しても、リーブスは『とにかくやってみろ』の精神を発揮し、そして最高の結果を出した。