森井健太

激しいディフェンスで川崎のミスを誘って74-63の快勝

1月29日、横浜ビー・コルセアーズと川崎ブレイブサンダースの『神奈川ダービー』が行われ、ホームの横浜BCが74-63で勝利した。横浜BCはこの勝利によって、今シーズンのダービー戦績で2勝1敗と勝ち越した。

一進一退の展開を先に動かしたのは川崎だった。川崎は第3クォーター開始早々からマシュー・ライトを起点としたオフェンスが機能。10-0のランで11点のリードを積み上げた上で、横浜BCのこのクォーターの得点を9に抑えることに成功する。

しかし第4クォーターは真逆の展開になった。横浜BCは激しいディフェンスで川崎のミスを誘い、ダミアン・イングリスがこのクォーターだけで10得点2アシストというゴー・トゥ・ガイぶりを発揮。キング開、森井健太の3ポイントシュートも加わり、危なげなく勝利の瞬間を迎えた。

「川崎は順位こそ下位ですが、ここ8試合で6勝を挙げ、どんどん強くなっているチームです。いろんな対策をしたけど難しい試合になることは分かっていた中で、このような結果を迎えられたことを誇りに思います」

横浜BCのラッシ・トゥオビヘッドコーチはこのように試合を振り返り、12スティールを成功させ、16ターンオーバーを誘発させたディフェンスを勝因に挙げた。

川崎はこの試合、先発ポイントガードとして米須玲音を起用した。12月に特別指定選手として加入し、1月14日に22歳になったばかりの米須は、非凡なパスセンスとバスケットボールIQを備える選手。彼が加入して以降、川崎のチームオフェンスの質は明らかに向上し、勝ち星も増えてきた。

横浜BCはこの試合、試合開始から明確な『米須シフト』を敷いた。激しいマンマークを仕掛け、彼がボールを持つ時間を削った。川崎から持ち味とするトランジションやコンビネーションプレーを奪い、ハーフコートの1対1で攻めさせた。

試合後、川崎のロネン・ギンズブルグヘッドコーチは「やりたいようなオフェンスができませんでした。ボールが動かず、シュートが打てない時間帯が多かったのが結果に響いた印象です」と話し、ライトらウイング陣のピック&ロールで『米須シフト』に対抗しようとしたものの、ビッグマンがピックをかけるタイミングが合わず、大きなズレが生まれなかったと明かした。

森井&米須

「米須も素晴らしいけど、ウチには健太がいます」

試合後のトゥオビヘッドコーチに、米須を軸とした川崎の攻撃をどのように守ろうとしたのか尋ねた。指揮官は「複雑だった」との一言の後、森井の名前を挙げた。「米須も素晴らしいけど、ウチには健太がいます。他の試合と大きく守り方を変えたわけではありませんが、米須のようなガードは周りが見えるとやりたいことをやれてしまうので、そこを健太で守りました」

パスファーストでゲームメークに長けたポイントガードという点で米須を「タイプとしては僕に似ている選手」と評する森井は、マッチマッチアップで意識したことをこう説明した。「これまでの試合を見て、彼がコントロールすることで川崎の得点力のある外国籍選手の良さが生きているなと思っていました。彼の得点やアシストが増えると周りの選手が生き生きとしてしまうので、今日は試合前から『簡単にボールを触らせない』『ディナイを強める』というのは意識しました」

ピック&ロールを仕掛けられた時も、ビッグマンのヘルプを借りずなるべく自分1人で守ることも意識した。『同類の匂い』がそうさせた。

「自分もそうなんですけど、余裕を持たせると良いパスが飛んでしまうので、パスコースに手を入れたり、ハンドチェックギリギリのプレッシャーを常に意識して守ることで、彼のプレーを制限しました。特に4クォーターは彼にボールを持たせず、他の選手の1対1で攻めさせることができたので、狙い通りだったかなと思います」

プロデビュー以降初めてとなる徹底マークを敷かれた米須は、約22分のプレータイムで2得点2アシスト2ターンオーバー4ファウル。ノーマークの3ポイントシュートを2本外し、その他のシュートチャンスでも判断の迷いが感じられた。彼に代わって出場したポイントガード陣も流れを変えられず、オフェンスの停滞がそのままディフェンスに波及した。

「玲音の加入でトランジションオフェンスもハーフコートオフェンスもすごく良くなってきています。ただ彼はまだ若い選手なので、彼にすべての負担を乗せるわけにはいかないと思っています」

ギンズブルグヘッドコーチは『プロの洗礼』を浴びた米須をこのように気遣いつつ、「ウチは玲音だけのチームではありません」と、他選手たちの奮起を促すような言葉を発した。

今後も米須が徹底マークを受ける試合は増えていくだろう。米須自身はもちろん、その他選手のさらなるステップアップが求められる。